夏戻りの空にゆたかな歌声響いて

京浜東北線の電車の窓から外を見れば、真っ青な空に、
むくむくと入道雲
夏が戻ったように晴れやかになった昨4日、
大好きな男声合唱を聴きました。
慶応ワグネルソサイァティOBの定期演奏会でのことです。
それに先駆けて、
友人、義妹とお気に入りのイタリアンレストランで昼食を済ませ、


その満足感とコンサートへの期待感とでウキウキと、
蒲田に向かったのでした。
会場大田区民ホール・アプリコ大ホールのある蒲田駅を出れば、
同じ方向へと人の流れが出来ています。
駅で義妹夫妻に出会い、
流れに沿って会場に近づく途中で、友人にもばったり、
みなさん生き生きしています。
自由席ということで早い者勝ち、長い長ーい列ができています。
ゆるゆると進んでようやく会場へ。
入り口で、友人のワグネルメンバーFさんの奥様にお目にかかり、
確保していらした席を譲っていただくという幸運に恵まれました。


一階座席はほぼ満席、大変な盛況ぶりです。
2時いよいよ開演、「見よ風に鳴るわが旗を・・・」
ああ聴き慣れたワグネルトーンとの再会です。
最初は待望の「水のいのち
出だしに、やや淋しさを感じたのは、気のせいだったでしょうか?
次第に、次第に大きなうねりが生じて、大好きな「川」に至ると
あのぬくもりのある大らかな歌声が高らかに響き渡りました。
「海よ」がまた素晴らしいハーモニーでしたね。
「いちずなつばさあるかぎり のぼれ のぼりゆけ おお」
盛り上がり、最高でした。

中島みゆきソング集」
聴き慣れたみゆきさんの表現とも、
ワグネルの歌う合唱曲とも違う、新鮮なソング集でした。
地上の星」の歌いっぷり、
男性ならではの哀愁のようなものも感じられて、
社会でご活躍の皆さんの思いが、ここにも籠められているのでは?と
そんな思いも心を過る味わい深いものでした。

「ハッシャバイ・ソングス」
美しいハーモニーが心地よく、練習を積んでいらしたであろう纏まりが
感じられました。心を込めて歌っていらっしゃるのが心地よく伝わる、
素敵なコーラスでした。

ブラームスの(愛の歌、新・愛の歌)」
ブラームス交響曲が大好きな私は、ブラームスと言えば、
あの勇壮な力強い雰囲気を思い描いてしまいます。
でも一方でクララに尽くしたブラームスの誠実さ、朴訥さ、ナイーヴさを
心から好ましく思っている私は「愛の歌」に殊の外、関心がありました。
詩を追っていると言葉の強さに目が行って、耳が疎かになります。
途中からは目を閉じて、歌声だけに耳を傾けました。
時にやさしく、時に怒涛の如く激しく、
でも若者特有の猛々しさ、神経質さ、滾るような感情は
ふくよかな歌声のなかに包みこみ、
ゆたかに、たおやかに愛の深さが歌い上げられました。
最後の詩
Zum Schluss
「アモールが負わせた傷を癒すことは出来ないけれど、
痛みの和らぎは、あなたたち自身によってのみもたらされるもの」
心にズーンと響く哀愁にみちた力強い歌声、余韻が残りました。
舞台を見れば、赤いネクタイの方が半分ほど、
(赤いネクタイは、古希を過ぎた方のシンボルカラーとか)
いろいろな思いをご自分の中で消化、熟成させて、
心の丈を歌にのせて表現なさったのでしょう。
万年青年のように生き生きとして、活動的な皆さんの、
若さの源を見る思いがしました。
コンサートホールに詰めかける私たちの思いも、
その豊かな響きの中からエネルギーを享受したいからこそ、
晴れやかな秋の一日、
そのエネルギーを、確かに受け取らせて頂いた思いがしています。