炉開き

 ご存知のように、お茶を点てるための湯は、
風炉釜で沸かす場合と炉釜で沸かす場合とがあります。
風炉を使うのが夏の季節、炉を使うのは冬の季節、
暖かい間使った風炉を片付け、炉に初の火を熾すのが炉開き、
冬の季節の始まり、お茶の世界の新年に当たるそうです。


 私どもの茶室、知川庵では今年は11月4日(金)に
炉開きをしました。
これが茶室の様子、

軸は「関」、花はヤマボウシの残葉と山茶花

棚は祥峰棚、水指は薩摩、

茶器は菊蒔絵:春海作、茶碗:十二代坂倉新兵衛作。


 炭点前の間に浄めの式を入れての炉開きは、
今まで殆どやって来ておりませんので、
みなさんもたいそう熱心にご覧になりました。
炭を点てた後に、お点前の方は中座して、
菊の葉、塩、火打石を乗せた盆を持って入ります。

香の代わりに、菊の葉を三枚、

熾ってきた炭火の上に置き、
そこに一つまみの塩を乗せます。
灰を浄めることを意味しているそうです。
次に火打石と火打鎌を取り、カチカチと鳴らして、
厄払いをします。盆を下げた後は炭点前の続きをして
釜をかけます。


 お菓子の種類はいつもより少し多めに用意しますが、


炉開きの主役は、猪子餅です、

イノシシは丈夫で子だくさん
子孫繁栄を願ってのことなのでしょう。


 よく熾った火に載せた菊の葉から清かな香りが漂います。
半年ぶりの炉点前に、社中の皆さんはちょっと戸惑い気味、
笑い声が絶えない炉開きとなりました。