小春日和

朝夕とても冷え込んで、楓の色着きが促されています。

でも昼の陽ざしの穏やかなこと、庭に出れば日ごとに進む楓に
寄り添うように、一重の山茶花が可憐な花をみせています。
赤い実を楽しむ鳥たちの声も長閑です。


本当に厳しい寒さと忙しさががやってくる前のほんのひと時の
和みの時です。


今日はお茶をご一緒している方達との昼食会、
場所は武相荘、ご存じ白洲次郎、正子夫妻の住まいであった場所です。

今ご一緒しているお茶のお仲間は、母のお弟子さんだった方々、
母亡き後も引き続き、
母の茶室での稽古に通って下さっているのです。
母が自分の茶室「知川庵」を自宅に開いたのは1960年、そこで52年間、
大勢のお弟子さん達と共に母の日々がありました。
2012年12月に旅立つ、その2か月前まで。
そしてその後の5年間、同じお顔ぶれの方々が通ってきて下さって、
今日まで知川庵は続いてきたのです。
でも母亡き後の5年間はお弟子さんそれぞれにも色々の形で変化を齎す
年月ではありました。
自然の理とは言いながら、残念な淋しい出来事も起こりました。
お話し合いの末、母の茶室知川庵での稽古はこの年末で一区切りという
結論に辿り着き、今日はそのお別れ会も兼ねています。
来月2日が母の5回目の命日ですから、そこでみなさまにも母との別れの
供茶に参加して頂き、半世紀を超える知川庵の歴史に幕を閉じます。


皆さんとお昼をご一緒しながら、昔話に花が咲きました。
皆さんが多忙を極めていらした頃の若かった日々に、母のお茶席が
いかに心と体の安らぎの場であったかを改めて伺い感動しました。
昼食はフレンチ、なかなかの美味でした。



高い天井の古い家屋、日当たりの良い縁側、
木々がのびのびと枝を伸ばす広い庭、

懐かしさを覚える佇まいの白洲家での昼食会でした。

淋しさを覚えながらも、何か清々しい気持で皆さんとお話が出来ました。
「これからも年に一、二度はお会いする機会を作りましょう」と
お約束もしました。
無理をしないこと、それも大事なことだと思っています。
2017年11月22日記す