東京六大学OB合唱連盟定期演奏会

 夫が学生時代に友人達と結成したオクトパスは、
名前のように8人編成のダブルカルテットの
コーラスグループでした。
社会人になってからも、顔を合わせると楽しそうに声を合わせて
いましたが、その絆の強さと歌への思い入れの深さは
傍で見ているだけでも気持ち良く、そして羨ましいものでした。
深々とした奥行きとぬくもりに充ちた彼らの歌声を
いつも近くで聴いているうちに、
気が付いたら男声合唱が大好きになっていました。
オクトパスが歌うことはいつの間にか無くなりましたが、
夫にはその他にも歌うお仲間が大勢いました。
その中のお一人、高校時代の音楽仲間のFさんは、
今も慶応ワグネル・ソサイアティOBとして活躍して
いらっしゃいます。
昨日は、「東京六大学OB合唱連盟演奏会」に、
大学時代の友人Cさん、Iさんと出かけました。
 この連盟の歴史は比較的新しく、初回の演奏会は1999年でした。
2年毎の演奏会も今回で6回目、
内容がとても充実してきているのを感じます。
それぞれのグループの選曲も趣向を凝らしていて
とても聴き応えのある演奏会でした。
プログラムは先ず明治大学グリークラブOBの組曲「ゆうべ海を見た」
慶応ワグネル・ソサィエティ−OBのシベリウス「六つの男声合唱曲」
立教グリークラブOB「マドリガル」。
インターミッションを挟んで
東京大学アカデミーコールOB「四つの祈りの歌」
法政大学アリオンコールOB「合唱のためのコンポジションⅢ」
早稲田大学グリークラブOB組曲「海の構図」
最後に「エール交歓」というプログラムでした。
 
 明治グリーの「夕べ海を見た」は揺りかごのようにやさしく
大きな海を静かにゆったりと歌い上げていて、
その素朴さが好きでした。
 慶応ワグネルのシベリウスフィンランド語で歌われましたから、
意味はパンフレットを見ながら理解しましたけれど、
ハーモニーが素晴らしく、よく響いてとても美しいと思いました。
 立教グリーのマドリガルはピアノにパーカッションが加わり
心が踊るような快活さが心地良い、楽しい演奏でした。
 東大アカデミーコールの「四つの祈りの歌」は
静かな祈りから始まり最後はハレルヤで終る
心に灯りを点すような曲を悠々と伸びやかに歌い上げ、
爽やかな印象が残りました。
 法政アリオンコールの「合唱コンポジション」は
艪押しや網起こし田植え歌や念仏踊りといった
日本の原風景を思わせる構成で成り立っていました。
掛け声やお囃子やお神楽を思わせる面白みと哀愁とに満ちた曲を、
力強くそして温もりのある歌声でリズミカルに表現していました。
 早稲田グリーの「海の構図」は福永先生の編曲がやっぱり素敵でした。
先生は夫のコーラスグループの指導をして下さった、
夫が尊敬して止まない方でした。
声の伸びやかさと力強さ、歌う巧みさはこのグループならではの
ものでさすがと思いました。
最後のエールの交歓は何回聴いても、いつ聴いても心が踊ります。
300人ほどと思われる全メンバーの
会場に響き渡る歌声は圧巻でした。
アンコール曲「見上げてごらん夜の星を」が演奏され、
演奏者と聴衆の心が一つになって、
爽やかな演奏会は幕を閉じました。