冬戻り

 朝から冷たい雨が降る。
最高気温は6℃、山沿いは雪の由。
楓が赤い新芽を徐々に広げ、海棠も石楠花も
花盛りを迎えているというのに。
 一昨日は20℃を超える気温にブラウス一枚で
歩いて、昨日はスプリングコートを羽織り、
そして今日はダウンジャケットにブーツという
出で立ち。
数日の間に夏から冬までを行き来する気候に
どこかが壊れてしまったとの思いを拭えない。

 でも季節の乱れを気にもせず、約束通りに緑を広げ、
彩を散らしている木々や花々の静けさと落ち着きを見れば、
「自分は自分でしかないのよ。出来ることをおやりなさい」
と言われているような気分になる。

 春の日差しに恵まれた昨日は、海棠に次々と小鳥の
訪問があった。蜜が甘いのか、虫でもいるのか。
カメラを向けるとさっと飛び立ってしまい、収まって
くれたのは、番いのキジバトだけだったけれど。

 4月は4月、こんな長閑な風景が捨て難い。