霜降り月

 11月入りです。台風の後ぐずついていた空が
昨日の午後はすっきりと晴れ上がりました。
最高気温が22℃にもなり、半袖の人も見かける
霜とは縁遠い11月初日となりました。
これから暫くは秋晴れの清々しい日が続くとの予報です。

 昨日は、高鶴元先生の今年の作陶展を友人と共に観に行きました。
ボストンから作品を空輸しての
恒例の「ニューイングランドの風」シリーズの7回目です。
いつも鮮やかな赤で彩られている入り口のショーケースは、
今年は深い碧のオブジェで始まりました。
会場の雰囲気も少し変わっている印象です。
オレンジ色は先生の代表的な色彩の一つですが、今年は数が少なく、
潤いのあるブルーの大きなオブジェが中心に据えられ、
水指や花入にも碧の作品が多く見られました。
「高鶴レッドから高鶴ブルーにかえていこうと考えている」
との先生のお話です。
大きな土の塊を彫るようにしてオブジェを作り上げられる過程や、
それぞれの釉薬の溶解温度など
機密事項ともいえる大切な情報を、
高鶴先生は惜しげもなく明かして下さいます。
その上、大きなオブジェの厚みを知りたい私に、
作品に触ることまで許してくださいました。
壁に掛けられた美しい彩の花入れには、鮮やかな花々が
奥様の手によってさりげなく活けられ、見事な調和を見せています。

「空気が乾燥するので、花の管理がなかなか」と
奥様はあっさりとおっしゃいます。
先生の精力的なご活躍は、
奥様との二人三脚から生まれているのが伝わってきます。
一つ一つの作品から滲み出て、きらきらと煌いているものから
沢山のパワーを送り込んでいただいた気がします。
穏やかな秋の一日は、しあわせな思いのうちに暮れていきました。