爽秋の日々に

 庭のそこここに紅が点在する穏やかな秋の日々、
空気は冴え冴えと静まっています。
爽秋の一日、一昨日6日に展覧会と演奏会を楽しみました。
展覧会は「現代の茶」。
現代作家の手になる茶陶器展です。
「造形の自由」と副題にある通り、
規模は小さいながら、個性と才気が溢れる作品が
ゆったりとしたスペースに展示されていました。
 場所は赤坂の智美術館、ホテルオークラのお隣に位置しています。
智美術館大賞展とのことです。
個人的には楽吉左衛門さんの「灰釉焼締花入」や
加藤高宏三さんの志野茶碗が好きでした。
手にとって肌合いや重みを知りたいとの思いが募りました。
勿論「お手を触れないでください」。
高鶴先生のようにはいきません。

昼食の後、蒲田の大田区民アプリコ大ホールへと急ぎます。
慶応ワグネル・ソサイアティの定期演奏会開幕の時間が切迫して
しまったのは「APEC」が近いための厳重な警戒態勢を
想定していなかったからです。
車の移動に倍の時間が掛かってしまいました。
無事辿り着いた時には、
まさに慶応塾歌の演奏が始まったところでした。
今回の曲目は
Ⅰ シベリウス合唱曲「六つの男性合唱曲」
Ⅱ 「沖縄美ら唄」
Ⅲ 「女声合唱とピアノのための 赤い鳥小鳥 北原白秋
Ⅳ 男性合唱曲「枯木と太陽の歌」
民族衣装に身を包んで歌われた「沖縄美ら唄」は哀調を含んだ
メロディーの中に見事に沖縄の雰囲気を滲ませて、
聴衆の心をしっかりと掴んだようです。
そして私の大好きな「枯木と太陽の歌」。
ドイツ語で歌われましたから、最初は耳慣れずにちょっと
戸惑いました。
でもワグネル特有のあの深みのある素晴らしい響きが
次第に大きなうねりを見せながら、展開して行くにつれて、
私の心は歌声に添い、やがて一つになりました。
「大地をふるわせ のぞみを求めて・・・」と心の中で
併せておりました。
会が果て、楽屋から出てきた演奏者と友人やファンの人たちとの
輪がそこここにできるのも恒例の風景。
私も懐かしい知人や友人と握手を交わし、賑やかな輪に加わります。
年月を経る程に深くなる、大切な人たちとの年輪です。


 そして昨7日。穏やかな小春日和が続きます。
息子と早朝の東京霊園に参りました。
父には真っ赤なダリアを
夫にはピンクの薔薇を供えました。
誰もいない園内の、見渡す限りにどうだんとはなみずきの
深紅がちりばめられておりました。

 
今日は8日、今朝もまた明るい陽射しを迎えています。
月曜日の7時半、辺りは静まり返って小鳥の声さえ聴こえません。
今日は信楽で花入を作ります。
焼き〆めて、秋らしく深みのあるものを作りたいのです。
照り葉が日毎に広がっていますから。