父の日に

 細かい霧雨が続いています。
雨の日曜日、辺りはひっそりと静かです。


 今年もこの日がまた巡ります。
この日ならずとも、父は何時も変わらず
家族の傍に居てくれるのに、
この時期、この日はやはり私には
特別です。
 6月に入院して、6月に逝った父は
8年前の今日、病床にいました。
 夫が持ってきたCDラジカセで
終日音楽を聴いて過ごしていました。
それは父の青春時代と重なる
旧制中学や高校の寮歌や応援歌
歌い継がれた小学唱歌など私にも懐かしく
父を通じて、なじみ深いものばかりでした。
 夫が選んで持ってきたシューベルトの歌曲集や
ショパンのピアノの小曲集もありました。
目を瞑り、穏やかな顔で聴き入っていた父の顔を
今でも昨日のことのように思い出します。
 そんな時間が持てたのですから、私には
悔いのようなものは何も残っていないのです。
そしていつも父に守られている自分を感じています。


朝6時に焼き始めたパウンドケーキが焼き上りました。
色は黒いですけれど香ばしいかおりが部屋を満たしています。
チェリーセージでちょっとおしゃれをして、
カードと一緒に父に供えました。