秋雨の日曜日

 久しぶりに夕べから雨になって、今日は一日雨の予報。
新聞を取りに出て、ポストのわきのヒメシャラを見上げます。
紅葉の進み具合を確かめたくて。
数葉が紅を帯びはじめているのに満足して、庭に回ります。
はなみずきがはらはらと散る傍で、
楓の葉先もほんのりと色変わりを始めていました。
気温が例年より高いようなのに、
季節は怠けることもなく、そのときの
営みを淡々と進めているようです。


昨日は、半年ぶりに久合田緑さんのヴァイオリンの音に
浸る機会に恵まれました。
「土屋律子コンサートシリーズ」でのこと。
曲目は、
ベートーヴェン ピアノ、クラリネット、チェロのための三重奏
演奏者 ピアノ土屋律子さん、クラリネット横川晴児さん、
チェロ倉田澄子さん
演奏は親しみやすく、軽やかで、心にすっと馴染みました。
クラリネットの音の幅と深さ、その豊かさに感動です。
チェロの音はゆったりとふくよかで、素敵でした。


ベートーヴェン ピアノとヴァイオリンの為のソナタ第8番
演奏者 ピアノ土屋さん、ヴァイオリン久合田緑さん
スカッと切れ味の良い演奏の何と心地よいこと。
緑さんの演奏はやっぱり凛として爽やかでした。


メシアン 時の終わりへの四重奏曲
演奏者 土屋さん、久合田さん、横川さん、倉田さん。
抽象画の絵を見ているような難解さ。
聴き方が分からずちょっと戸惑う思いがありました。
最終章では、クラリネットからチェロ、
そしてヴァイオリンへと演奏を引き継ぎ、
余韻を残してヴァイオリンの音がとけるように消えていきます。
初めて味わった感覚に、戸惑う思いは残ったまま。
コンサート終了後、演奏者の方4人と
ファンやお弟子さん20名ほどの打ち上げに参加させて頂きました。
そこで拝聴した
「時の終わりへの四重奏」の演奏前の心構えや工夫、
演奏時の心の動き、
他の演奏者の演奏をどのように聴いていたかなどのお話の
何と興味深かく、面白かったことか。
舞台の上で、言葉に出さない心の会話を交わして
いらっしゃるのですね。
聴衆からは見えも聞こえもしませんけれど。


曲のとらえ方は様々。
伺った話と私の感覚がそこはかとなく混じり合って、
私なりのメシアンが少し形になった思いがします。


予報より早めに降り始めた小雨の中をゆっくりと歩きながら、
心はなにやらみたされておりました。