冬晴れ

 3日間の雨の後、今日は素晴らしい冬晴れとなりました。
雨に耐えた照葉が最後の輝きを見せています。

季節は冬の筈ですけれど、今日も気温は16℃まで上がるとか、
何だかじっとしていてはいけないような陽気です。
北風に乗って遠くまで行ってしまった落ち葉を
追いかけてかき集め、また追いかけてと繰り返し、
1時間ほど格闘しました。
葉を見ればどこから飛んで来たのか一目瞭然なのが
困りものです。
分からなければ良いというものでもありませんけれど。


 昨日はイヴェントフルな一日ではありました。
激しい雨、風も苦にならず朝から出かけた先は、
オペラシティホール、
サンクトぺテルスブルグ室内合奏団のクリスマスコンサートです。
3大アヴェ・マリアを始め、G線上のアリア他12曲、
日本人好みの曲の、そのまたさわりの部分を
流れるように演奏して楽しませてくれました。
何よりもソプラノ歌手マリーナ・トレグボヴィッチの
立派な体格から紡ぎ出される澄みきったソプラノの
えも言われぬ美しさと豊かさが印象的でした。
アンコールにはサーヴィス精神を発揮して
「夕やけこやけ」と「もみじ」を熱唱。
喝采を浴びておりました。


 2時前にコンサートが果てて、
夕方までの2時間あまりを等伯の絵を見るために宛てました。
いつもは静かな出光美術館が大変な人ごみ
常に比べて男性の姿が目立つのは、土曜日午後のせいでしょうか。
長谷川等伯狩野派」と銘打った展覧会でしたが、
私の関心はもっぱら等伯です。
 竹鶴図屏風 
期待通りのあの躊躇いのないすっきりとした筆さばき、
竹が凛と伸びて、清々しい風景です。
 松に鴉・柳に白鷺図屏風
やわらかい柳の流れ、ごつごつと男性的な松の幹、
ドキドキするほどに躍動感があります。
この2点を見ただけで私はもう大満足、
他の作品は殆ど目に入らない有様です。
でももう一点、同時展示されていた桃山陶器
美濃の「志野草に籠目文鉢」の温かな雰囲気に魅せられました。


 帝国ホテルのロビーラウンジで一息ついていると、
大阪からの友人が到着しました。
ヴァイオリニストのK.M.さんです。
明日横浜でコンクールの審査員をするためご上京。
年忘れの食事会のために、
前日を開けて下さったのでした。
「北京」での夕食の間中、
ロビーでそしてコーヒーハウスで、
限なく語り合って6時間。気が付けば、10時を回っておりました。
 めったに時間を共有できない私達は、
会えばこうして日頃の埋め合わせをすることになります。


 名残を惜しみながら外に出れば、
朝の雨風を忘れたように日比谷の夜は和んで、
イルミネーションが美しい光を放っておりました。