眩しい陽射しが戻って

今朝まで残った雨は午前中で上がって、
夏の陽射しが木の葉の露をきらめかせています。

これから気温はうなぎ上りと予報では言っていましたけれど、
いまのところは爽やかで心地良いお天気です。


 昨日は、楽しい演奏会に行ってきました。
正式には東京6大学OB合唱連盟演奏会。
このコンサートは隔年に行われて、
今年で7回目を数えるそうです。
12年前の第一回目は、慶応ワグネルと
早稲田グリーばかりが際立つ会でしたけれど、
一昨年はそれぞれのグループが個性を打ち出して、
聴き応えのある素晴らしい演奏会になっていました。
さて今年の演奏会です。


 出演順に
・東大音楽部OB合唱団コールアカデミー
ドイツ男声合唱曲「~ロマン派からの流れ~」
一番バッターの歌声に大いなる期待を寄せていました。
選曲に苦心し、練習に励んで臨まれたのでしょうけれど、
メンバーの方々は、手応えの得られない思いを抱かれたのでは
ないでしょうか。
聴く側の私には歌に託された皆さんの心が響いてこないもどかしさが、
最後まで拭えませんでした。
ドイツ語で、歌の心を伝えることに難しさはないのでしょうか?

 
・慶応ワグネルソサィエティーOB合唱団
男声合唱曲「尾崎喜八の詩から」。
聴衆の心を一気に引き寄せる最初の一声「いま」が響きわたりました。
私たちの耳を最後までとらえて離さない、本当に素晴らしい演奏でした。
喜八の詩の中にちりばめられている愛と光と美とを余すところなく
伝えていただいたと思っています。
深々とした歌声は時に大きく歌い上げ、
時にしみじみと語りかけながらひたひたと会場を満たし、
最後の大きなうねりへと私達をいざなってくれたのでした。
「春愁」、「天上沢」、「かけす」が殊に印象的でした。
独唱がやさしく味わい深かったこと、
言葉に透明感があったこと、
冴えた歌声がゆたかによく響いていたこと
故にです。


・早稲田グリークラブOB会
男声合唱のためのカンタータ「土の歌」
力強い演奏でした。土への愛、
それ故にそれを汚したものへの激しい怒り、
そして祈りから大地への感謝、安らぎへとダイナミックな展開を、
メリハリのある凛とした歌声で表現して下さいました。
心にずしんと響く素晴らしい演奏でした。


・明治グリークラブOB会合唱団
「アルボールムンディ/世界樹
言葉って不思議なものですね。
その国の言葉で歌ってこそ、その風景や雰囲気が
ありありと伝わることはしばしばあります。
でも馴染のないメロディにドイツ語だと分かる程度の
知識しか持たない言葉で語りかけられた時、
私は戸惑ってしまったようです。
歌声に広がりや高まりを感じ取れなかったのも
私の心のありようと関係があるのかもしれません。
低音がとてもよく響いていたのにと
残念な思いが残りました。


・法政大学アリオンコールOBと立教大学グリークラブOBの合同演奏。
男声合唱のためのコンポジション
カジュアルな服装、指揮者を囲んでコの字型の配置、
リズミカル、コミカルな選曲、意表を突く舞台でした。
合いの手や拍子木などの演出にも聴く側を楽しませる工夫が
満載されていたと思います。
ことに田中信昭さんの多彩な指揮ぶりが魅力的でした。


最後のエールの交歓は、声の厚みは勿論のこと、
高揚する歌い手の思いも伝えられて、心が高まりました。
アンコールの「ふるさと」は懐かしく、しみじみと心に浸みました。
2時半からの演奏会が果てたのは5時過ぎ、
外は予報通りに雨が降り始めておりました。
でも五反田駅への道をたどる人々の顔には笑みがこぼれ、
良い時を共有した名残を留めておりました。