梅雨去りやらぬ日々に

照っても降っても連日30℃前後のお暑さの日々
クーラーを使わずに過ごすことが、そろそろ難しくなってきました。
でも夕暮れて、開け放った窓から涼しい風が訪れると
夏の宵に通ずる懐かしさが心をよぎります。

7月は心許ないほどに天候が定まりません。
今年は彦星、織姫に逢瀬は訪れるのでしょうか。


 昨日、陶器の好きな友人と茶陶器鑑賞をしました。
根津美術館での「中世人の花会と茶会」。
中世日本の粋人たちが珍重した
12世紀から17世紀の唐物、高麗ものが中心です。


 花と茶ですから花入、茶道具、軸、書など100点近く。
古銅の作品や書などは目の端でとらえる程度で、
逸る気持ちは茶陶器、特に茶入と茶碗へ。
桃山時代の茶人が愛して止まなかった
唐物茶入、唐物茶碗、高麗茶碗、
本当に見応えがありました。


中国 
・唐物茶入
肩衝茶入 銘松屋

(武骨な姿、釉薬の荒々しい流れ、
土の匂いが残る懐かしさを感ずる作品でした。)
文琳茶入 銘白玉、
丸壺茶入 銘石河
丸壺茶入 銘青山、
茄子茶入 銘志賀

・唐物天目茶碗
油滴天目、

(いつ観ても華麗、端正。そして艶めかしい。)
耀変天目、
灰被天目、
建蓋天目
青磁茶碗二つ


朝鮮 
・高麗茶碗
雨漏茶碗

(この素朴さ、あたたかさ、このさりげない佇まいに
限りないいとしさを感じました。)
青井戸茶碗、
彫三島茶碗、

重要文化財、重要美術品が目白押しです。


 唐や高麗からの遠来ものが珍重された時代、
唯一の「お国焼」であった楽、
楽家初代長次郎の赤楽「無一物」

が人を集めていました。
その堂々とした風格、触れなくても
そのぬくもりが伝わってくる心地のする
赤膚の姿、すごいの一言です。


 綺羅星の如く居並ぶ宝物の中で、
茶入、茶碗を抜き出し観するような贅沢をしました。
それぞれの道具が醸し出す雄大な世界に浸って、
しばらくはその余韻から抜け出せそうもありません。
また土に触れたくなりました。