陽射し春めいて

 背高のっぽのマテバ椎の葉が少し風に揺れています。
陽射しはとってもやさしくて、
まっ黄色の水仙を煌めかせています。

春がようやく腰を据えたのでしょう。庭がうらうらとして見えます。
靖国神社の桜が、今日ハラリと開花したそうです。
これから暫く日本列島南から北までお花見気分が続くのでしょうか。
東北に遅い春が来て、ピンクの花が空を彩ったなら
寂しさや虚しさや怒りを抱えた方達の心に
ひとときの安らぎが宿るのでしょうか。
花色の春が来ても、忘れられない事々が共にめぐってきます。


 お彼岸ももう直ぐです。
今朝息子と東京霊園にお参りに行きました。
早朝の道は、いつもとさして変わらず空いていましたけれど、
墓地の駐車場は珍しく車が並んでおりました。
途中で求めた花は、
白薔薇、淡いピンクのカーネーション、濃いピンクのスイートピー
お墓には先客がありました。おそらく弟夫妻が参ったのだと思います。
ピンクと白の愛らしい花が未だ活けたてのように元気です。
母の好みを知り抜いている義妹の配慮とすぐに分かりました。
そこに持ってきた花を添えましたら、まことに華やか、
おまけに彩りがよく似ているのも「いとおかし」です。

埃はすっかり洗われて、すっきりしていましたけれど、
息子がまた丁寧に浄めてくれました。

夫の墓地にも美しい花が供えられていて、
二つの花を合わせましたら、こんなに華麗な花束になりました。
夫が目を細めそうな彩りです。


 霊園のそこここに白梅、紅梅が点在して長閑な春の景色です。

空気も光もやわらかくて、
心の中に安らぎとやさしさが宿る思いのする朝でした。