秋の手仕事 土作り 土練り 

 手に触れ、轆轤に触れた使い残しの陶土は、硬く乾燥してそのままでは使いものになりません。作陶を続けているうちにこうした土がどんどん溜まっていきます。そこでこれらを同じ産地の土(信楽備前、越前などなど)別に分けて大きな発泡スチロールの箱に入れておきます。そしてある程度溜まったところで水を注ぎ、浸したままで一ヶ月ほど置きますと水と馴染みとろとろ状態になります。それを厚いタオル地に包み、適度な硬さになるまで陰干しします。土の塊の外はやや固め、中がまだ手に付着するくらいの状態になった頃にその土を練り始めます。荒練りを繰り返し、全体の軟らかさがほぼ均一になったら、菊練りに入ります。繰り返し繰り返し練るうちに、手に逆らっていた土が次第にしっとりと手に馴染んできて、寄り添うようにやさしく滑らかになってきます。そうなるまでに土によっては100回ほど菊練りが必要な時もあります。この状態になればもういつでも作陶が始められます。直ぐに使わないときは、空気に触れないように、ラップしてビニール袋に入れておけばしばらくは同じ状態を保てます。土練機を使う方も多いようですが、私はこのやり方で土を再生しています。
 こうして出来た備前の再生土で、今日は旅枕型と小形の徳利型の花入を計3個作りました。一昨日作った砧型のものを加えると、一度に焼ける窯のスペースの限界です。これらを陰干しでじわじわと乾かせば、今の時期でしたら4、5日もすれば素焼きに入れるでしょう。素焼きの日を11月2日と決めました。