みどりきらめく母の日に

若葉が日差しに応えて眩いばかり、頬に触れる風が爽やかです。
母の日は本当に美しい季節に用意されているのですね。
 私には90を越えた母が二人います。夫の母と私の母。
電話での会話が少し難しくなりはしたものの、なんでもおいしいと
食欲も衰えず、杖の世話になりながらも散歩を欠かさない元気で
明るい二人です。
 母の日にと花が大好きな夫の母には
カーネーションに紫陽花やラベンダー、カンパニュラなどの
鉢植えを添えたフラワーボックスを、
私の母には紫色のセーターとカーディガンのアンサンブルを、
そしてそれぞれにきれいなカードを添えました。
 母達への思いは、言葉や文章で表現するにはあまりにも
大きすぎて、
口にしたらそれだけのもののように空しく感じてしまいます。
ですから結局
「いつも傍で見守っていて下さりありがとうございます。」
とただそれだけしか書けませんでした。
小さくなった母達ですけれど、その心は限りなく大きく、
そして限りなく温かいのです。
いつまでも傍にいてほしいと切に願う母の日です。

 そしてその私も3人の子供の母親です。
子供たちの何もかもをそっくりそのまま包み込むように
受け入れてくれた母のような度量を私は持ち合わせてはいません。
それでも子供達それぞれからは優しい言葉を添えた美しい花々が
届きました。
彼らと共にあって、その日々から贈られた沢山の喜びに
「ありがとう」を言いたいのは私の方ですのに。
母達に守られ、子供達に支えられて生きる日々だと改めて思います。
華やいだ雰囲気と薔薇の香りに包まれながら、
息子と共に午後のお茶を楽しみます。
やさしい時間が静かに流れています。