母の誕生日に

 今日母が93歳になりました。
6歳の時、関東大震災で実母を失った母が今日あるのは、
育ての母の限りない慈しみがあってのことでしょう。
実母と継母から良いものを沢山受け継いだ母は、
日々を心和やかに、穏やかな笑顔で過ごしています。
猛暑続きの昨今でも 「お暑いわね」と涼やかな顔つきで
挨拶されると弱音も吐けません。

 デイケアに行くのを楽しみにする理由に
「気の合うお仲間がいること。
人の悪口を言う人がいないこと。
ちゃんとした指導者の許で体操が出来ること。
多種目の手芸を楽しめること」を挙げています。
「お茶を楽しむ会」に見える生徒さんたちは
「先生にお会いすると元気と安らぎをいただける」と
おっしゃいます。
 戦争をくぐって、子供達を育て上げ、健やかに永らえた人に
共通する芯の強さと人の心を寛がせる和みを母の中にも見出します。
同じ遺伝子を受け継いでいるはずの私も、命をいとおしんで、
健やかに、長生きしたいものと改めて思う母の誕生日です。


 昨28日、義妹が心尽くしの誕生昼食会を一足早く
用意してくれました。

 「まあ良いお味」と母は好物のあなごちらしをお替りして、
どの料理もゆっくりと丁寧に味わっていました。
作り手への感謝を忘れない母の、食事の作法はまことに優雅です。
 食後のメロンの後のケーキは、
「とても手が届かないわ」とお3時まわしになりました。

 ウィークディのこととて参加したのは私と義妹と
大学生の甥の3人。
弟夫妻からは、母の好きなブルーとパープルの
スタンドフラワーを

私からは、やはり母好みの
藤色のアンサンブルを

そして甥からは、
桔梗柄の扇子を贈りました。

 誕生日とは始りの日、
これからの1年も母は健やかな日々を過ごしてくれることでしょう。
7月29日の誕生日を母と同じくする父に
花とケーキを供えながら、母の守りを願いました。