秋が腰を下ろしたようです

 昨日はこの夏以来始めて一日中長袖で過ごしました。
行きつ戻りつしていた季節がようやく秋に落ち着いたようです。
朝夕の空気が澄んで凛としてきました。
それでも昼の陽射しにはまだたっぷりとぬくもりがありますから、
花壇には夏花、秋花が入り混じって、彩りを競っています。

紅葉も少しずつ進み始めています。

日々動きのあるこの季節は心は楽しみますが、
体は調節と管理に忙しい時でもあります。
早々とインフルエンザの予防接種も
肺炎球菌ワクチンの接種も済ませました。
それでも外出後は塩水の嗽は欠かしません。
朝のヨガ、野菜を主にした食事、予防注射などの可能な防御で、
ここ数年風邪で寝込むことはなくなりました。


秋は展覧会シーズンです。
先日三菱一号館美術館に行ってきました。
「三菱が夢見た美術館」展です。
8月のオープン当初は入るのに長蛇の列と聞きましたが、
2ヶ月を経て並ばずに入れるようになっていました。
そうは言ってもかなりの人混み(女性が80パーセントくらいを
占めているといった印象)ではありましたが、
頭越しに画を観る状態は解消されていて、
好きな絵の前に暫く佇むことも、
大名物の茶器を縦、横、斜めと眺め回すことも、
古書の説明をじっくり読む(日本語より英語の説明の方が
分かりやすく、親切に書かれているようです)
ゆとりにも恵まれました。
岩崎家が何代にもかけて、集めたコレクションは作品数も内容も
さすがにため息が出るほどに重厚で贅沢なものでした。
梅原龍三郎岸田劉生といった日本画壇の誇る錚錚たる画家の
作品の重々しさ、静嘉堂所蔵の名物唐物の気品は言うに及ばず、
東洋文庫の奥行きと厚みには圧倒される気迫がありました。
藤原定家選の百人一首の写し(14世紀)、
卜部兼好徒然草」写し(16世紀)、
(いずれもwood block printing と説明されていました)
浸みの滲んだ和紙に深々と記されたなよやかな筆跡の優雅さ、
ふくよかさは時空を越えて直に心に伝わります。
杉田玄白の「解体新書(ターヘル・アナトミア)」の翻訳と
解剖図写し(小野田直武による)(18世紀)の精密さは、
針の先ほどの線でさえもぶれの全くない筆先の確かさです。
友人と「すごい、すごい」を連発する東洋文庫の一室でした。
三菱一号館美術館、これからの展覧会情報も目白押しです。
また一つ楽しみが増えました。