卯年の朝に

 穏やかなうちに2011年の朝が明けました。
 6時30分、カーテンを開け放ちます。
薄明かりの空には雲の陰も無く、
淡い紅が次第に広がっていきます。
今日の日昇は6時50分のはずでしたが、
家々の屋根ごしに
初日の出が顔を出したのは7時10分でした。
この一年の良い日々の兆しのように、
美しく神々しい光が辺り一面を包みました。


 お節料理に添える
千両の実とつわぶきの葉を取りに庭に出ました。
シャリシャリと霜柱を踏みながら庭を歩いた、
かっての感触はもうありません。
冬の最中のピンと張った空気を身に纏うことも
なくなりました。
紅の葉が未だちらちらと残る庭に
ガーデンシクラメンの赤が咲き揃っています。
凌ぎ易く、でも緊張感もなくなりました。


昨日用意したお節料理は30種類ほど。
料理好きな二人の息子が腕を振るってくれました。
味の決め手の鰹節を長男が丹念に削っている間に
次男が揚げ物を手際よくこなし、私が酢の物と
分担作業は順調で、4時には全て終了しました。
煮〆10種、酢の物、揚げ物各5種、鰤照り焼き、
床ぶし煮浸し、アワビ酒蒸し、鯛の昆布じめ、
海老鬼がら焼、茄子の揚げ出し、鯖の南蛮漬け、
数の子、蒲鉾、きんとん、煮豆、
そしてお雑煮の具。
昆布巻き、伊達巻、田作りなどの伝統お節は
我が家のお重からは姿を消しました。
家族それぞれの希望を募って作っている内に、
いつの間にかこうした形になりました。
 鰹節と羅臼昆布で取った出し汁のお雑煮と煮物、
そして数の子は格別なお味でした。
今年は娘一家は帰国せず、ノア、ジョン、娘
それぞれと電話で挨拶を交わしました。
こちらが越年した午前零時、
彼の国はまだ前日の午前10時でしたが。


2011年卯年の日々が今朝の空気のように穏やかで、
仰いだ初日の出の輝きのように明るいことを
祈らずにはいられません。