小さな春

 日本海側の大雪が、今日は小休止と聞けば
なにかほっとします。
東京は今日も碧い、碧い空が限りなく続き、
冷たい北風が残り枯葉を巻き上げています。
風が止んだ時の陽だまりはとても穏やかなのに、
朝の日陰には薄氷が張って、
手袋なしの手がかじかみます。


 2時間だけの講義を聴きに9時前に家を出ました。
その時間でさえ息が真っ白に見えました。
みな深々と黒っぽいコートを着込み手袋をして、
電車の中がいつもより窮屈に思えました。
2時過ぎに帰宅して、
ゆっくりと煎茶を一杯、干し柿を一つ。


まだ陽が高いので、久しぶりに庭に出ました。
枯葉と裸木ばかりに見える花壇に
芽を出したばかりの命を見つけました。
クロッカス、水仙、チューリップです。

寒さに怖気づいて、庭にご無沙汰していましたから、
彼等の訪れに気付きませんでした。
やはり日当たりの良い所から目覚めるのですね。


生まれたての淡い緑に
初々しい春を見つけた思いがして、
ちょっとしあわせになりました。