陽射しに明るさが増して

 昨日パラリと雨が落ちただけで、
今日の空は塵が洗われたように、すっきりとした青です。
気温はさして変わらないのに、凌ぎやすく感ずるのは、
風が穏やかなだけでなく、
日差しに少し温もりが増してきているのでしょうか。
明るい陽射しに誘われて、今日はコートなし、
厚手のジャケットで出かけることにしました。

 
 室町三井家茶道具の内容の濃さには定評があります。
国宝「卯花墻」を含む「室町三井家の名品展」が
29日までと気付いたのは昨夕のこと。
今日の予定を変更して、三井美術館へと向かいます。


 何はさて置いても先ずは「卯花墻」。
少しのてらいもない素朴な志野茶碗なのに
心を捉えて離さない、あの大らかさ、あたたかさ。
いつ見てもやさしい気持ちになれます。
轆轤引きの高めの茶碗に太い箆跡を付け、
両手で形を歪ませて緊張感を取り、
長閑な風景に仕上げています。
どんな職人さんの手になったものなのでしょうか。
がっちりとした大きな手、でもすっきりとした長い指、
やさしい眼差しと引き締まった横顔を思い描きます。


 ととや井戸茶碗、升屋青井戸茶碗、
長次郎の黒楽茶碗、道入の赤楽茶碗、
唐物大名物茶入「遅桜」、瀬戸中興名物茶入「田面」、
花入、水指、利久や遠州手作りの茶杓、高野切、色紙・・・
名にし負う名品の数々が並んでおりました。
 目移りするのを我慢して、
茶碗と茶入をじっくり眺めました。
あまり美食をし過ぎると、
お味が分からなくなりそうで。
目の保養がたっぷりと出来ました。


 昨今は、人出の多い所へは出向かなくなった母にと
宝物の詰まった三井名品図版をおみやげに求めました。