弥生

 春一番がやって来て、その後に訪れた春陽気に
すっかり浮かれておりました。
ところが昨日は午後から霙混じりの雨になり、
夕刻にはボタン雪に変わりました。
そして今日も風は冷たく、また雨模様です。
寒さを抱えたままの3月入りとなりました。


「木々いよいよ生い茂る」が弥生の語源とか、
気温の変化にうろたえているのは人間だけで、
冷たい雨の中でも木々の芽は膨らみ、
クリスマスローズは花数を増やし、
鳥達の動きも活発です。
雨の日が多くなって、
芝に雑草の緑が広がっています。


弥生初日の今日は、「英国王のスピーチ」を観ました。
1ヶ月も前から友人と楽しみに約束していたのです。
ところが昨日この映画が、
アカデミー賞作品賞など4部門で受賞した」と
報じられて、俄にお客が増えたのでしょう。
武蔵野館に入れば、既に長蛇の列です。
おまけに毎月1日は入場券1000円の日とか、
長い列の理由は、そこにもあったようです。
最前列の最端で観るはめとなりました。


ストーリーはいたってシンプル、
エリザベス女王の父ジョージ6世が、
吃音症を克服して、感動的なスピーチを
成功させるに至るまでの話です。
ナチスドイツが台頭してきていた
第二次世界大戦前後が時代背景です。


大学2年の一般教養で世界史を取りました。
このときの先生は、ジョージ8世と
2回の離婚暦があるシンプソン夫人との
「王位をかけた恋」に魅せられていらして、
授業の80パーセント位は、この勇敢(先生の意見)なる
英国王の話に費やされました。
一般教養の授業内容など殆ど覚えていない私が
今でも記憶に残る面白い授業でした。


今日の映画の主人公は、
王位よりもシンプソン夫人を選んだ末
退位した兄ジョージ8世のお陰で、
図らずも王となってしまった、気弱なジョージ6世の話です。
ジョージ6世を引き立てる目的もあってか、
ジョージ8世はまことに勝手な人として描かれているのが、
少し残念な気がしたのは、昔の授業の影響でしょうか。
でも映画は文句なく面白く、
大きな音も、斜めから見る画面も気になりませんでした。


満足して外に出て、学生時代から馴染みの中村屋
昔懐かしいカレーの昼食をしました。

セピア色のアルバムをゆっくり繰っているような
やさしい時間が持てました。