一日だけの春うらら

 思わせぶりな季節に振り回されています。
昨日までは「いつまでたってもお寒いですねえ」が
挨拶言葉でした。
今日はちょっと様子が違います。
気温もですが、何か空気の匂いも陽射しのやわらぎも。
日なたは眠くなるようなぬくもりです。
クリスマスローズは大きな花を盛大に咲かせ、
雲間草は紅の小花をこんもりと増しています。
やや盛りを過ぎた紅梅の枝に、今朝鶯のつがいを見ました。
勿論声は発しません。忙しげに枝から枝へと動き回っていました。
枯葉の中で、クロッカスが満開です。

少しずつ春の気配が広がり始めました。


 折角春がやって来たところで、
私は明日から冬に逆戻りです。
ボストンの娘は、
ドクター論文が追い込みの上に
インターン先に深刻な患者さんもいらして、
いたずら盛りの三歳児を抱えながら、
日夜奮闘しています。
夫のJohnが出張で留守がちですから、
頼みの綱は、Noahを見て下さる
インド人のMさんだけ。
世田谷に4年住んだことのあるMさんは、
心ゆたかなインテリ婦人です。
この方が、ここで2週間、海外へお出かけの由、
他の方も見つからずに、娘は途方に暮れておりました。
 そこで私が短期間の助っ人を買って出たのです。
急なこととて、にわか作りのスーツケースの中身は、
衣類とインスタント食品、お煎餅、羊羹、お饅頭
そして、Noahへのおみやげの、
小さなフォークリフトのおもちゃと「めばえ」だけ。
スーツケースは、さっきクロネコ便で成田に送りました。
最近は何処に行くにも、空港まではハンドバッグ一つで
行けるようになりました。
直通バスを使えば、ただ座っているだけで、空港到着です。
どんどん楽が身に付いて、我慢も努力もすたれていくようです。


Noahからは今朝も電話が入りました。
「Nanachama why do you stay home now?」
「You should come now Nanachama.」
「I miss you Nanachama.」
「I love you Nanachama.」
待っていてくれるのですね。
ボストンの歳時記を書く閑が果たしてありましょうか。
雪国の春が楽しみです。