卯月のお茶を楽しむ会

急に気温が上がって、
今まで躊躇っていた桜が一気に開きました。
朝から風がやさしい金曜日、
母の茶室には春が満ちていました。
今月は炉点前の最後の月、
来月からはもう夏点前です。
月日は、こんな時でさえ
さらさらとさりげなく流れすぎていきます。
速さは年々増すばかり。
お茶道具が季節に沿って変わる度に、
えっもうこんな季節と
びっくりしています。


 五徳にしっかりと腰を据えて、
たっぷりの炭で湯を沸かしていた
鉄の大きな茶釜は、
その日は羽釜にと替っていました。
浅目の平たい形に羽のついた
不思議な形のこの釜は
4月にしか顔を出しません。
五徳を外し、羽を炉縁にかけて
釜を支えます。

気温が高くなるこの時期に、
炉の火を羽で遮り
お客様から火を遠ざける、
心憎い演出です。
床の軸は「春草生」。


花は金花茶と芽吹きの枝。

棚を置かずに広々とした茶室で、
流し点、隅炉、向こう切と
普段は出ない点前に皆さん頭の体操です。
2畳台目席、4畳半の間と
部屋の設定も変わりますから、
ちょっと気を抜くと、手許が
覚束なくなります。
薄茶器は、
桜の絵付けの平棗と四季棗
濃茶入はちょっと華やいで辰砂にしました。
お菓子は、
菜の花

桜の干菓子

イースター玉子(ボストン土産)

季節の香りが茶室に満ちて、
久しぶりに戻ってみえたお仲間も
加わったお茶の会は
ひととき 憂いから離れて
潤っておりました。


帰りに立ち寄ったお店に
仏生会(花祭り)の飾りがしてありました。

見慣れた幼い釈迦仏が、特別な
お姿に見えました。