風の中に初夏の香りが…

一雨ごとに、緑はますますその勢いを増しています。
広がる緑に公園は盛り上がるよう。
並木道には涼しげな影を作っています。
最高気温25℃の今日の東京は、もう初夏の装いです。

 
 今日は、クラスの帰りに日比谷まで足を延ばしました。
出光美術館で観たいものがあったのです。
先日友人と観た「花鳥の美」展。
その中の唐物、梅瓶(めいぴん)にもう一度会いたくて。
口は親指一本ほどがようやく通るくらいにすぼめ、
肩は丸く大きく張りだして、
そこからゆるやかに下った線が裾でほっそりとまとまった
背高のっぽの瓶。
その姿のとりこになりました。
 口と肩と裾の極端なサイズの違いの故に、
やや儚げで、なめらかな曲線に包まれた梅瓶は、
たとえようもなくしなやかで優美な姿をしています。
形を真似てみたくても、とてもかなわぬ夢。
ですからひたすら眺めます。
北宋から元、明(12世紀から15世紀)のもの5点の内、
4点が景徳鎮窯からのもの、
600〜900年以上も前の才気と技術です。
意匠はすべて牡丹、唐草文、
呉須の青が冴えざえと涼やかでした。


 外に出ると、もう陽ざしはやさしくなっていて、
連休を控えた日比谷は、なんとはなしに弾んでいます。
お堀を渡る夕風は、みどりの匂いに溢れていました。