夏日の訪れ

 目が眩みそうな陽射しでしたが、
風は涼やか、みどり、緑の景色です。
外に心が向く陽気が続いています。
数日前にパンジーを抜いて植え替えたバーべナが
生き生きし始めました。


パンジーと同じ頃に植えたビオラは、ご覧のように
まだまだ元気。植え替がのびのびになっています。

そよ風と太陽が、命を生き生きさせるのを実感しています。


サントリー美術館が創立50周年を迎えたそうです。
その間に集めた宝物が今一堂に会していて、
それはそれは豪華と聞き、友人と出かけてみました。


やきもの、漆器、ガラス製品(薩摩、江戸切子)、屏風、染色、
茶道具、絵画と多種多様の150点。
その中で、
お目当ては、名もなき陶工たちが焼いた素朴な無釉薬の大壺や大瓶。
そして桃山陶器の志野、織部
それだけでなく
大好きなガレのひとよ茸のランプ、
幻の薩摩切子の澄んだブルーの鉢にもお目にかかり、
茶道具の楽茶碗(道入、光悦の)、信楽の矢筈口水指も、
丹念に観ました。
でもやっぱり見惚れて、しばし立ち尽くしたのは信楽の大壺。
作者も作られた時期さえ判然としない生活雑記。多分農家の
台所で、雑穀が入れられていたのではないでしょうか。
私が幼い頃毎夏を過ごした信州の祖母の家にもありました。
生活の道具としての大きな大きな水瓶が。
あれは越前の焼き締めか何かだったのでしょう。
信楽土は粗目で水漏れすることが多いですから、
乾いたものを入れていたはずです。
これがその壺です。

荒々しい紅い土肌に白い小石を食んで、
逞しさが溢れんばかりです。



この景色は、薪の灰が地肌に掛かって、
溶けて流れて自然に出たもの。
技巧が加わらない朴訥さ。
そして数百年の歳月を潜ってきたしたたかさと
人と馴染んだぬくもりと。
壺を見た目には、眩い宝ものが少し味気なく感じられました。
心みち足りて、明るい街の中に戻りました。


美術館も思いがけないほどの混雑でしたが、
六本木の街にも賑わいが戻っているようでした。
夏を装ったショーウインドーがいきいきと輝いて見えました。