秋深まりて

 食料の買い出しに行けば、店先の果物の豊富なこと。
みかんの色つやが日ごとに輝きをまして、
西洋梨、林檎、柿は勿論のこと
最近はもう干し柿さえも顔を出しています。
ハウス物のメロンや輸入物のパパイヤ、マンゴーの類は
季節を問わずつややかな彩りで並んでいますけれど、
やはりこの時期ならではのものに目が行きます。
みかんがとても甘くなってきました。柿は富有柿よりも
渋抜きしたおけさ柿の方が私は好きです。
 寒さに向かう頃の楽しみの一つは、増した食欲を満たすために
おいしいものを用意すること。
それは料理だったり、食事会だったり。
 今朝ほど、店先で運よく紅玉を見つけました。
これをお砂糖、蜂蜜にレモンの絞り汁とシナモンを加えて
今煮ているところ。
そうです、アップルパイを作るために。
パイ皮は薄力粉にたっぷりのバターと氷水を入れて、
しっかりと練ったものが冷蔵庫で眠っています。
 パイ皿にパイ皮と林檎を見栄えよく納め、
オーブンで温度調節をしながら30分ほど焼けば、
パイの出来上がり。
今日はお人をお招びしてあるわけでもなく、
私の為のお三時です。
 
 
 西に傾きかけた陽射しが、芝の上に木々の影で
縞模様を描いています。
風も無いのに、
ヒメシャラの照り葉が音もなく降り積もる
晩秋の昼下がりです。