鏡開き

 やはり寒中と思わせる日々が続いています。
雪の予想さえ出ていた昨日は、風の中に鋭い冷たさがありました。
そして今日もまた空気はひえびえとして、やさしさが感じられません。
空は晴れていますけれど、木々の芽は未だ固く閉ざしたままです。


 年末から年明けは、納会、クリスマス会、新年会と母と行動を共にする
機会は多かったのですけれど、
二人だけでゆっくり過ごす機会にはなかなか恵まれませんでした。
昨日は、一か月ぶりにそんな機会が持てたのです。
先ずは美容院へ。ここで9時半から12時半まで、3時間を過ごしました。
パーマネントやカラーリングに丁寧に長い時間をかけるのは、
母の大事な身だしなみのようです。
お人に会う機会が多い生活をしてきましたから、
常に身ぎれいにしておくことは、お人への礼儀と心得ているのでしょう。
 すっきりして車に乗ると、
「お腹が空いたから、ステーキかハンバーグのようなものが食べたいわね」と母。
「えっ、そうなの」とお寿司に心を残している私。
レストランの席に着くと、母は先ずジンジャエールを注文し、
パンプキンのポタージュ・スープ、
フレンチフライとリンゴ入りコールスロー添え
デミグラソースたっぷりのハンバーグステーキ、
胡桃のパンとクロワッサン、
チョコレートケーキにマロンアイスクリーム、
コーヒーのコースを
「おいしいこと。結構なお味ね」とすいすいと平らげてくれました。
「こうでなければ、94歳まで元気には過ごせないわ」
と改めて感心しながら、母を見つめる私。
穏やかな時間が流れました。


 母を送って4時に帰宅してから、鏡開きをしました。
と言っても、我が家の鏡餅は、ほんのお印程度の手の平サイズ。
神棚がありませんから、玄関と、和室の違い棚に
他の正月飾りと並べて置いてあったものを、下げただけですが。
 どうして「開き」なのかと言えば、
歳神様にお供えした鏡餅に刃物は禁物。
「切る」が切腹に通じて縁起が悪いからだそうです。
で、鏡餅を、包丁で切るのではなく、槌で叩いて開く(割るの忌み言葉)
「鏡開き」となった由(インターネット情報です)。
そういえば昔、カチンカチンに乾いて、ひび割れした大きな鏡餅を、
父は槌(金槌)で開いて(割って)、水餅にしておりました。


 我が家の小さな鏡餅は、
ビニールで覆われているのでひび割れもせず、
防腐剤が施されているのか黴も生えず、
カバーのお蔭でカチンカチンにもならず、
手でたやすく上下に分けることが出来ました。
そのままゆっくりぷっくりとオーブンで焼いて、
夕食の時、ふく鍋に入れて頂きました。


 歳神さまからお下がりの鏡餅からは、力が授けられる由、
今年も元気に過ごせそうな気持になりました。