春雨に濡れながら

 一日中雨が降り続きました。
本当に朝から晩までしっかりと。
折り畳みの小さな傘はあまり役に立たず、
帰宅した時にはコートがしっとりとしておりました。
きっと恵みの雨、
明日は植物がキラキラとしていることでしょう。
出かける前に撮った海棠は濡れて色まし素敵でした。


 友人とマチネーコンサートで、
ベートーヴェン交響曲7番、
ブラームス交響曲1番を聴いてきました。
小林研一郎指揮、日本フィルの演奏、
サントリーホールでした。
 2時半の開演に合わせて「雲海」で
春の会席料理を楽しみました。
今は何処もテーマは桜ですね。
お魚は鯛や鰆、甘海老、ほたるいか、飯蛸・・
野菜はタラの芽、たけのこ、春ウド、土筆・・
目にも口にもほんわりとやさしくさわやかで
そこはかとなくしあわせになります。


 さてコンサート。
勿論ベートーヴェンはどっしりと聴き応えがありました。
でもブラームスの一番を聴いてしまうと、
私の中では急に影が薄くなってしまうのです。
特に今日のような迫力のある凄いブラームスを聴いてしまいますと。
小林さんの指揮は、繊細かつ大胆、メリハリが効いていて清々しい。
大きな身振りで曲を表現して団員を引っ張っているという感じです。
それに応える演奏は実に力強く、躍動的でした。
ブラームス交響曲一番、第一楽章の指揮棒が振り下ろされた瞬間から
私はもうその世界に入りっぱなしとなりました。
夢心地のまま30分弱、ついに第4楽章です。
盛り上がりは佳境に入って、弦も管も素晴らしい響きです。
打の音も力強く冴えて、一気にクライマックスへ。
会場が揺れるような拍手とどよめきと歓声に包まれました。
「激しい曲が続いたので」と息を弾ませながら小林さんが
告げたアンコール曲は、「ダニーボーイ」。
水を打ったように静まった会場に、
哀愁に充ちたその調べが、ゆったりと流れていきました。