お花見弁当

 朝テッカリで夜には雨と聞いても
それはないだろうと思えるような穏やかな朝でした。
瓶、缶の回収日とて、袋を4つ携えて近くの集積所へ。
そこへ向かう道の真正面に、若木の桜林があります。
数日前までこんもりとピンク色に盛り上がっていた林は、
今日はピンク色はすっかり去って、
木の芽の膨らみが感じられる、
ほわほわっとしたやわらかい色彩に変わっていました。


 今日は義妹のお花の稽古日、
週に何回かお弟子さんが見えるようです。
それならば母とお昼をと、お花見弁当を作ってみました。
東京の桜は去りましたけれど、
箱根芦ノ湖畔の桜がようやく咲き始めたと便りが届いて、
もう一度お花見気分をというわけです。
春は野菜がおいしいですね。
出始めのグリンピース、そらまめ、
裏庭に盛大に広がっている三つ葉もたっぷり使いました。

10時前出来上がったお弁当を持って母の家へ。
「まあ上手に出来たわね」と広げたお弁当に母は目を細めて、
「それでは始めましょうよ」と11時にはもうお昼の開始です。
母の手料理を思い出しつつ作ったお弁当は、
母をあの頃、この頃の思い出の中に誘ったようでした。
菜の花畑、富士山、蜜柑山、30代の母、小学生の私、
スミレ、タンポポレンゲソウ、つくし・・・。
取り留めもなく話題に上がるのは、
主に父の転勤先清水で過ごした日々のこと。


「あんな時もあったのねえ。何だか夢のような気がするわ」と
遠くを見る目の母の表情は、あの頃の母のように、
何かいきいきとして見えました。