夕風涼しく

 緑が折り重なるように繁茂して、庭に濃い影を作るようになりました。
山鳩がしきりにクックー、クックーと鳴くのは、
巣作りの季節の呼びかけでしょうか。
陽射しの強さはもう夏のものです。
春先から爽やかな彩りを増していた花達の様子が
変わってきました。
花数を減らし静まっているもの、勢いを増して咲き誇るもの
季節は夏に向かって急ぎ足です。


 今日は母と一緒に美容院へ行ったのですけれど、
食事を共にする時間も無く戻りました。
空港行きの荷物集荷が3時―5時になっていたものですから。
母を送った帰りに、大きなどら焼きを6個買って戻り、
残りの荷物の詰め込み作業の最後に、
このほかほかどら焼きをそとーっと納めました。
母からの抹茶を点てて
どら焼きと共に喫する醍醐味を娘にプレセントしたくて。
こうした具合に次々と入れたいものが増えた結果、
荷物は大きなスーツケース2個とあいなりました。

かろうじて集荷に間に合って、一段落。
気付いたら昼食が未だでした。


 食後に、庭に出ました。
昼間あんなにギラギラしていた太陽が雲に遮られて、
木々を渡る風の何と涼やかなこと、
ちょっと溜まった疲れが吹き飛びました。
野バラが咲き始め、

赤い撫子が数を増やし、

桃色昼咲き月見草が、風に靡いておりました。


 慌ただしく戻ってきて、
母に、出かける挨拶をきちんとしてこなかったことが、
心にかかっています。
明日もう一度「行ってきます」を言いに行かねばと、
今これを書きながらそう思っています。