カナディアン・ギースにめぐり会えて

 明るい日差しとあっけらかんとした碧い空、そして程よい風、
寒からず暑からずの日が続いています。
寝室の窓の外に広がる深い林の中から、

巣つくりを控えたロビンのよく通る鳴き声が聴こえます。
5月中旬から6月はアメリ東海岸は、一年中で一番
過ごしやすく、美しい季節。
バラ、シャクヤク、アザレア、ジャーマンアイリス、などが
真っ白な家々の前庭を華やかにしています。
雨が少ないので、空気はサラッとして、まことに爽快です。


 ボストンに来て5日が過ぎました。
Noahをデイケアに送り、迎えに行き、
続きにピアノのレッスン、帰りに公園で遊ばせてと
幼い子供のいる母親は本当に忙しいものだと
傍で見ながら忘れていた事々を思い出しています。


今日寄った公園で、Noah見ていて、
幼い身で、すでに社交術といえるものを身に付けはじめていることに
ちょっと驚きを覚えました。
友達になりたい子を見つけた彼はためらわずに、
その子の父親に、一緒に遊んでも良いかと尋ね、
「Sure」の返事に、
「My name is Noah. I Live in・・・」
と自己紹介をしているのです。

すっかり意気投合した本人達を見て、

親同士はアドレスの交換などをしておりました。
子供だけを遊ばせることのない此の国では、
親のすることの内容も日本とはいろいろ違うようです。


 Daylight Savingが始まって、
8時過ぎてもまだ明るい季節ですから、大人も子供も
お天気さえ良ければ外で過ごす時間が、長くなります。


 公園の後に、今日は隣町MaynardのMillpondに寄りました。

泳いでいる魚が見えるほどに、水が澄んで、

水辺でハマナスが咲く、ゆったりとした湖でした。

カナダから3月ごろ戻って夏を過ごす、カナディアンギースが
いくつかの群れを作って、水面を滑っていました。
春に孵った、まだ幼さの残る若鳥も交えて。

人を恐れず、近々と集まってきて、
水辺に立つNoahに話しかけるような動作をする鳥もいます。

7時を過ぎても明るさが十分残る水辺で、
Noahは、いつまでも遊んでいたいようでしたが、
夕風の立ち始めた水辺は急激に気温が下がってきます。
名残惜しげな彼を急かせて、家路につきました。