梅雨の合間の涼風の日に

 新聞を取りに出ると、思いがけなく
爽やかな風が頬を撫でました。
西の方は大雨の予報、
関東だけが気温も湿度も頃合いで申し訳ないようです。
最後の薔薇を花瓶に活けて仏前に供え、
窓を開けてしばらく風を通しました。
留守の間疎かになっていたホームページの
いくつかのコンテンツを並行して制作しています。
途中下車が多くてなかなか仕上がらない内に
7月になってしまいそうです。
                   6月24日10時記す

 25日になってしまいました。
昨日は、午後から出かけ、帰宅したのは9時過ぎ、
それほど遅い時間でもないのに妙に疲れていて、
続きを書く気力がありませんでした。
かねてから楽しみにしていたベルリン交響楽団の演奏会に
行ってきただけなのですが。

友人と赤坂のANAホテルで3時半に待ち合わせ、
コンサート前に軽い食事をしてからいそいそと出かけました。


 席は前から8番目中央の良い所です。
演奏開始は5時から。
曲目は、
シューベルト 交響曲第7番ロ短調[未完成]
シューマン ピアノ協奏曲イ短調
ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」
一曲目が始まった途端に「あらっ」と思いました。
深々とした響きをイメージしていたのですけれど、
出だしから上滑りな感じでしたから。
2曲目のシューマン協奏曲のピアノ演奏はあのブーニンでした。
みなの期待を一身に受けて登場した彼は前後左右に
直角になるほどの丁寧なお辞儀をした後ピアノの前に。
何回か細かく体を動かして座り直し、洋服を触ったり指を動かしたりと
落ち着かない様子です。
前こごみで弾きだしたシューマンの音色はとても美しいのですけれど
何か精彩に欠け、心を潤す情緒が感じられません。

17歳で華麗なデヴューを果たしてから30年。絶え間ない大活躍に
少し疲れが出たのでしょうか?
3曲目の「運命」。これも期待していたものとはちょっと趣が違いました。
心を込めて演奏しているというより、よく知る曲を表面を撫でるように
演奏しているという印象でしたが、音の不揃いが気になりました。
心にぐいぐい迫るような熱いものは、
ついに受け取れずじまいだったのが残念です。


 私の感想とは裏腹に聴衆の拍手は大きくて、
指揮者は舞台と楽屋を何回も行ったり来たり、
アンコール曲を5曲もサービスしました。
最初の拍手は演奏を讃えてのもの、
でも繰り返し、繰り返し指揮者を舞台に引き戻すのは
相手を讃えるより、自分のおねだりが前面に出ているようで、
ちょっと侘しくなりました。
アンコールが重なれば、演奏もお座なりになりがちです。
遠方から飛んできて、疲れも時差もあるはずの彼等を
早く解放してあげたい、そんな気持が募りました。


 コンサートは、沢山の曲を聴くよりも
一つ一つの曲を丁寧に味わって、いつまでもその余韻を楽しむ
そんな聴き方が私は好きです。