梅雨明けの東京に戻って

 凄い陽射しですね。雲が全くありません。
東京の梅雨明けのニュースは会津若松で聞きました。
その日、東北は午後から雨の予報、気温も30℃を割っていて
蛍が未だ飛んでいたのでした。


 3日間のんびり旅行をして戻りました。
息子から彼と私の誕生記念に東北への旅を誘われて、
二つ返事で出かけたのは16日のことです。
行った先は会津若松東山温泉の「向瀧」という旅館でした。
会津藩の保養所だったところを平田家が受け継いで今に至る、
125年の歴史を持つ老舗旅館です。
時代を経たその建物は、3月11日の地震にも外的な被害は
何も無かったそうです。
小高い山を控えた傾斜地に立つその宿は、
自然を生かした庭を持ち、
その双方が自然に一体化して、大きな景観を作っています。


 建物近くには鯉の泳ぐ池があり

その周辺には蛍が出ると聞きました。


 私たちが落ち着いた部屋は百合の間、

有形文化財に登録されている凝った建具が入っています。

夕食を6時にお願いして、息子はお風呂に、
私は持ち込んだパソコンでメールチェックやフェイスブック
 夕食は采だけで12皿、
珍しいもの:鯉の甘煮、ニシンの山椒漬け、
鯉のたたき、鱒の寿司、郷土料理こづゆ。

息子は5時間のドライヴと湯疲れとマッサージの快さで
早々と寝息を立てていました。
宵っ張りの私はまたインターネット。
非日常の中にPCが入って、ちょっぴり日常に戻りました。


 翌朝、例によって早起きの私達は朝食前に庭の散歩。
庭のそここに見事な山百合が真っ盛り、

苔むした岩や木の根、自然が息づいています。


 会津若松は観光の地、見所が目白押しです。
「静かで鄙びたところ」が好きな私に、宿の番頭さんが
候補地を選び出して、地図とパンフレットを用意してくれました。
朝食は、7時半に。

宿を出たのは9時でした。


 最初に行ったのは南会津の大内宿。
かやぶき屋根の家が立ち並ぶ鄙びた街道筋です。

お店の人の素朴な応対と言葉のイントネーションが
心にしっとりと馴染みました。


 次に訪ねたのは、1000年の歴史が眠る新宮熊野神社

一時間ゆっくり写真を撮りながら歩く間に出会った人は二人だけ。
県の重要文化財「木造文殊菩薩騎獅像」の写真を撮ることに
咎めもありませんでした。


 気が付けば12時過ぎています。
お昼は喜多方ラーメンと決めていました。
息子はチャーシュー麺、私は普通のラーメンを。
やっぱりおいしかったです。


 その後息子が案内してくれたのが猪苗代湖
眠っている私に「着きましたよ」と息子の声がして
目の前に広い水と空が開けていました。
空の碧の爽やかなこと、雲がダイナミックな動きを見せていました。

車の幌を全開にして、湖を渡る風と溢れる緑の中を走りました。
オープンカーで自然の中を疾走したのは初めてのこと。
やみつきになりそうな心地よさでした。

 
 宿に着いたのは4時、7時間のドライヴ旅行でした。
夕食のメニューは夕べとはすっかり入れ替わっていて、
宿の配慮が感じられました。
9時過ぎには蛍が出るだろうとの話でしたけれど、
ちょっとした疲れと気持もお腹も満たされたものうさで、
テラスの椅子から動かずじまい。
気侭な時間と上げ膳据え膳、いつでも溢れている温泉と
旅はやっぱり非日常的です。