蝉の初鳴きを聴いた日に

 もう近頃は30℃は当たり前、碧い空も眩しい陽射しも当たり前、
日陰に入って涼風を感ずるとうれしくなります。
今朝水撒きをしている時に、今夏始めて蝉の声を聴きました。
いつもならば夏休みが始まる頃には盛大に鳴いていたように
思うのですけれど、今年はさっぱりです。
蝉はあまり暑いと鳴かないとも聞きますけれど、そのせいなのでしょうか?
それにどうしたことか、例年今頃になると咲く宿根草や木の花達の中に
今夏は全く姿を見せないものが沢山あります。
花魁草、のうぜんかずら、サルビア木槿
ハイビスカス、ブーゲンビリア・・・。
これも気温と関係があるのでしょうか。
緑は茂りに茂って、盛り上がっていますけれど、
彩りに乏しい庭は華やぎに欠けて、うら寂しく感じます。


 井の頭線で渋谷に行った帰りに、
久しぶりに駒場の日本民芸館に寄りました。
バーナードリーチのやきもの展が開かれているのを知っていましたから。

彼の作品に初めて出会ったのは、もう30年以上も前。
夏休みに家族で夫の郷里宇部へ帰省の途中、倉敷に寄ったときでした。
大原美術館で、濱田庄司、富本憲吉、河井寛次郎の堂々とした大作と並んで
絵付けを施した鋭い個性を見せる作品が何点か自己主張しておりました。
 それからリーチの作品を度々観るようになって、
何回観てもまた会いたくなる作品が出来ました。
白掛櫛目色差皿。

櫛の先で引いた曲線は大胆で力強く、
その上にさりげなく2色の釉薬が刷毛ではいたように施されています。
その軽快さ、その迷いの無い潔さ、素朴さ、見惚れます。


 好きなやきものや絵、心に響く歌声や演奏、
身に合った洋服や靴や帽子、おいしい食べ物など、など、
心や目や耳や口を喜ばせるものに出会った日は、
「生きているって素敵」と実感出来て、心がとても華やぎます。