秋いっぱいの信州で

 東京は今もって夏から解放されません。
ふとした時に懐かしい風を感ずることはあるものの
いましばらく辛抱の時が続きそうです。
 それに引き換え信州は、
駅に降り立った時の空気の匂いからして違います。
じめっとした感じはさらさらなくて、
思わず深呼吸したくなる爽やかさ、
「ああいい気もち」と山々を見上げれば
青い稜線がくっきりと碧い空に描かれています。 


 母が入院している諏訪中央病院には
ボランティアの方々が丹精をしている広いハーブ園があります。
ハーブばかりでなく季節の花々が咲き乱れる庭には
遊歩道やあずまやが用意されていて、
患者さんが車椅子で或いは杖を突いてゆっくりと散歩しています。
庭の一角には広いリハビリテーション室があります。
2階の庭に面した病室は
緩和ケアの患者さんのために用意されているとのこと、
随所に思いやりとやさしさの感じられる病院です。


 今日は母と一緒にハーブ園を散歩しました。弟、義妹と4人で。
秋の陽射しが燦々と降り注ぐ庭に
花々が咲き乱れ、





木々に秋の実りがたわわでした。


午後にはたっぷりのお湯でゆっくりと足湯。
ひざ下がうっすらピンク色になって、母に活気が出てきたようです。
血行の良くなったところでリハビリ室での歩行訓練。
療法士の方の行き届いた指導で、
母の歩きっぷりはどんどん活発さを増し、歩ける距離は伸びていきます。
全てが良い方向に巡り始めたようなのです。
年齢相応に衰えの見える、心臓、腎臓も何とかバランスを保って
日常生活の支障は徐々に取り除かれていきました。


 待ちに待った退院の日が9月5日に決まったのは、
沢山の頑張りと誠意と手助けの実りだと思っています。