秋の気配がそこここに

 木々の葉がチラチラと細かく風に泳いでいます。
大きな台風が日本列島を窺っているとか
今朝の空はうっすらとグレイ、雨の予報が出ています。
それでも空気はさらっとしていてじめじめ感はありません。
季節がようやく定まって来たのでしょうか。


 毎年この時期にお招きをいただくコンサートの一つに、
古典音楽協会の定期演奏会があります。
夫の高校時代の親しい友人ヴァイオリニストのKさんからのご招待。
Kさんは、この協会のコンサートマスターです。
年に2回の定期演奏会にお誘いいただいて、
耳を傾ける内に心もどんどんバロックに傾いてきました。
演奏者と聴衆の間に通い合うぬくもりの様なもの
一体感のようなものにも惹かれます。


 演奏会の前に早目の夕食をしました。
イタリアンもフレンチも季節を取り入れるとは言っても
秋をそのままいただく感のあるのは和食です。
友人と意見が一致して決めたのが「さがみ」の長月のめぐみ。
紫芋のごま豆腐

柿の白和え、秋刀魚柚子焼き
叩き自然薯いくら添え
菊花真丈

戻り鰹叩き、塩鰤みぞれ
秋茄子、もみじ南瓜

〆鯖、焼舞茸と栗のおこわ、モンブラン、巨峰
秋が顔を出さない料理は一品も無し。見事なものです。
それに目の前に聳えるモード学園コクーンタワーが
夕焼けに包まれる豪華なおまけも付きました。

 お腹が大満足したところで上野へ。
東京文化会館がコンサート会場です。
今夜のコンサートは「イタリアンバロックの輝き」。
ヴィヴァルディが3曲、
マルチェッロ、ジェミニアーニ、ガルッピの曲を一曲ずつ。
ヴィヴァルディ以外の作曲家を私は知りませんでした。
でもどの曲も何の違和感もなく、心にスーッととけこむように入って
目を瞑って聴いていると、
サロンの和やかな雰囲気がそこはかとなく伝わってきます。
特に楽しかったのが
ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ヘ長調Op.10_5。
リコーダーのカッコーの声に似た温もりのある 音色に
弦の音がやさしくより添い、引き立て、素敵なハーモニーでした。


 演奏会が果ててロビーに出ると、
満面の笑みのKさんが同窓生に囲まれていました。
駆け寄って握手して素敵な演奏を讃えました。


 外に出るとやさしい風が吹いていて、良い気分は倍増。
しあわせな思いはこわされることなく、
家まで持ち帰ることが出来ました。


(27日の日記から)