紅葉すすみて

 久しぶりに道の落ち葉を掃いて、
庭に回れば4本の楓はことごとく盛りを過ぎて
もう葉を落とす準備をしています。
庭に出ることも忘れて過ごした3日間、
季節は少しも休まず進んでいたのですね。
今年は夏の暑さの影響か、照葉の彩りが冴えません。
それに例年とは少し色変わりもしているようです。
いつもは濃い紅を見せる親木が今年はオレンジ色になりました。

いつも一番多彩な長男木は、ただひたすら紅ですし。


 ライトアップをしたら夜の紅葉を楽しむ会をと
母と約束していたのです。
長い年月を母のすぐ近くで過ごしてきた私には
母との約束や思い出が多過ぎて、
何を見ても、何をしていても傍らに母を感じてしまうのです。
寂しいなどと一口では言えない喪失感を拭えずにおりました。
それはやり残したことへの悔いだったのかもしれません。
でも今朝のこと、この思いを娘と共有しながら
過ぎし日の事々を語らう内に、
私たちはずっと母の心に添うことを大切にしながら
過ごしてきたと確かめ合えたような気がしたのです。
そのことが、心を少し和らげてくれています。


 早朝から母の遺影にふさわしい写真を探し始めました。
なんとにこやかな良い笑顔の多いことか。
ことにNoahと共に過ごした日々の写真は、零れるような笑顔、笑顔。

それらをプリントして、明日はみんなに選んでもらおうと思います。


 あと2日で、母を送り出す日が訪れます。
それは旅立ちのための、関を越えるための儀式の日。
その後に、母に訪れる安息の日々を祈ります。
父がさぞかし心待ちしていることでしょう。