穏やかな冬晴れの日に

 落ち葉が降り積もって側溝はもみじ色です。
 
役目を終えた楓の照葉は今は茶色になり、
ちょっと風が吹けばすぐにも坊主になりそうです。
芝に舞い降りた紅葉は、まだそのまま。
掃いてしまうのが惜しい気がするものですから。


 この間からゆっくりと花びらを広げていた白薔薇が、
今朝は大きく花開きました。

四季咲きとは言うものの、
今まで真冬に花を咲かせたことはなかったのです。
この花を摘んで母の許を訪れました。
今日は母を送り出す前日、通夜なのです。
母の好みの紫小紋の稽古着を義妹と共に母にそっとかけ、

その傍らに、白薔薇を添えました。
オレゴンから来た弟は、
母の旅路のお供にとチョコレートを忍ばせておりました。
娘がそろそろ成田に着く頃です。
明日の葬儀に出て、明後日には帰米します。
同じ日に、甥はサンフランシスコへと戻ります。
母を中心に手と手を、心と心を繋いでいた私達。
母の遺してくれたものを、今夜はみなで偲びます。
そして美しく装った母を、
明日は父の許へと送りだします。