ハナミズキの咲く頃

 外に目を向けると、庭は光にみちて眩いばかり、
すっかり広がった楓の若葉に陽射しが躍っています。
そよ風が木々を渡る爽やかな春の昼下り、
眠気を誘われる穏やかさです。
高い空に向かってピンクのハナミズキが咲き始めました。

庭に出てみれば、
躑躅が花数を増やし、

椿のあれこれ、


驚いたことには、
まだ葉が充分に広がっていない藤に花房がついています。
今年の花達は、なぜかとっても急ぎ足です。


 母が逝って、5ヶ月が過ぎました。
ここに来て、
母が大切にしていた品々に風を通したり、
少し整理したりと、
母と語らいながら過ごす日が多くなりました。
義妹が手伝ってくれることが多いので、
思い出話に花が咲いてしまい、
手が疎かになることしばしばです。
母を一番感ずるのは、茶室で母の遺品の茶道具をあらためたり
着物や帯の畳紙(タトウ)を広げる時、

母の穏やかな笑顔を見る思いがするのです。

寂しい思いが無いのは、
慕わしい人たちが、いつも傍らにいて
そっと見守っていてくれるからに違いありません。