夏の訪れを感ずる日、宇部を訊ねて

 朝7時半に家を出ました。5月23日のことです
天候晴れ、気温20℃、快適な旅日和です。
かねてより宇部に住む夫の母を訪ねたいと思っていましたので
息子に打診してみました。
彼もずっと祖母を訪ねたいと思っていたからと、
話はとんとんと運んだのでした。


 12時5分山口宇部行きに乗る前に
母へのおみやげを息子と探し歩きました。
やわらかくて、甘くて、歯切れの良いものというと
あるようでぴったりのものはそうはありません。
5種類ほどのお菓子を整え、
軽い昼食をして1645便に乗り込みました。

 小豆島を過ぎると間もなく宇部です。飛行時間一時間半。

宇部はやっぱり西の国、フェニックスが風に揺れる空港は
もう夏の陽射しと30℃近い気温に包まれていました。
 

 空港でレンタカーをして、通いなれた道を琴芝の家へと急ぎました。
空港からたったの10分、

母は待ちわびていてくれたようです。
それはそれは素敵な笑顔で小首をかしげながら頷いてくれました。
そして自分の隣の椅子をポンポンと叩いて、
「ここにおすわりなさい」と。
私の手をしっかり握って「ようおいでましたね。まっていましたよ」
と、いつも変わらぬ母でした。
 息子を見上げ「まあ大きゅうなって、このくらいじゃったのに」と
手で一メートルくらいの位置を示します。

母の胸には幼い頃の孫の姿が今も留まっているのでしょう。
「まあ立派な息子になって、
貴女もさぞやせいがええ(張り合いがある)ことじゃろう」と
やさしい褒め言葉で私を喜ばせてくれます。
母の心の大きさは計り知れないほどと、いつも思う瞬間です。
おみやげのお菓子を母がおいしそうに口に運ぶ様子も
私を幸せにしてくれました。


 あまりの長居は、母を疲れさせてしまうのではと慮って
3時間ほどで暇乞いをして、山口に取った宿へと向かいました。
道幅広く、車の少ない国道は本当に快適、
緑の中を走りながら
心の中は、ぬくもりと安堵とでいっぱいになっておりました。