猛暑日の山口で

 宇部に母を訪ねた夜は、山口のホテルで過ごしました。
先月友人と泊まって、とても印象に残った松田屋ホテルです。
冠木門をくぐる前から息子はもう感激しています。
山口は四方を小高い山に囲まれた盆地ですから
夏暑く、冬寒い環境ですけれど、庭木がこんもりしているこの宿は
空気が爽やかで暑さが気になりません。
この日は30℃を越える猛暑日だったというのに。


 温泉の好きな息子は、4つある全てを楽しんだようです。
私は部屋についている木の湯船で、
源泉かけ流しの温泉にゆっくり浸りました。
さて夕食です。
見た目も種類もお味も豪華です。


地酒を飲みながら息子は大層ご満悦、私はせっせと箸を動かします。
お酒は維新の宿           サザエのお造り

兜煮                あまだい椀物

稚鮎の南蛮漬            フグの唐揚

ちりめんごはん、しじみ汁、香の物5種、デザートは
食べることに気を取られて、撮り忘れました。

 
 夕食の後、息子は温泉に行ったり
マッサージを受けたり
仕事をしたり
私はPCを少しいじった後は、早寝を決め込みました。


 気が付いたら6時半、こんなに朝寝をしたのは久しぶり、
慌てて身支度を済ませると間もなく、
朝からきちんと着物姿の仲居さんが、
身軽にお布団を畳んでは納め
あっという間に食卓を整えてくれました。

朝食も豪華版です。

 

 おなかこなしに庭の散歩に出かけました。
手拭いであねさんかぶりをした年配の女性が、
杉苔の中の草を、丁寧に一本ずつ抜いていました。
毎朝の手入れとのこと、
広い庭には草一本見当たりません。
 聴こえるのは小鳥のさえずりと水の音だけ。



札には「西郷、大久保、高杉会見所」とあります。


 いつの間にか消えた息子の名前を呼んでも、
返事がかえってきません。
水の音にかき消されてしまうのか、
庭が広すぎて声が届かないのか、
息子は写真を撮り続けて歩き回っていたようです。


 その日の最高気温は32℃の予想でしたけれど、
この一角に射すのは木洩れ日だけ、さやさやと涼風が流れて、
暑さは遠い世界の出来事のようでした。