秋色の朝に

 早朝、外に出ると空気が懐かしい匂いに変っています。
光がやさしさを増して、辺りにはそこはかとなく秋色が漂います

石段を下りはじめた時、何かが頭の上を過ぎりました。
この夏一度も見かけることのなかったアゲハ蝶です。
ひらひらとセージの葉に止まった蝶に「ちょっと待っててね」
と声をかけて家に入りました。カメラを取りにです。
大急ぎで戻ってみると、
そのままの姿勢でじっと待っていてくれました。

日本ミツバチが花の間を忙しく動き回り、
蝉たちの歌声もミーンミーン、ツクツクボーシと盛んです。
空が澄んで抜けるよう、雲が真っ白です。

久しぶりに朝の気温が25℃を下回って、
秋の足音がちょっぴり大きくなりました。


 ここ1週間ほど、心を決めてやり始めたちょっとややこしい仕事に、
気持も時間も全部投入して、がむしゃらに過ごしていました。
その間の息子達の力添えに、どんなに支えられましたことか、
積極的にアドヴァイスをして、ぐいぐいと後押ししてくれた長男、
控えめながら、心効いたやさしい配慮でそっと支えてくれた次男、
お蔭で、深呼吸をしながら仕事が出来ました。
その事々が昨夕完了して、今日は心も体も解き放たれています。


 今日は時間もたっぷり、心も広々、何をやっても良い一日です。
なのに体が一向に動きません。
うーっと膝小僧を抱えて蹲っているような状態で午前中が過ぎました。
意識していなくとも、疲れは澱のように溜まっていたのでしょう。
楽しみな作業というわけではなかったものですから。
昼食が済んで一休みして、今はすっかり元気が戻りました。
これから茶入を何個か作ります。
母のお弟子さん達とのお茶の稽古の再開が近づきました。
その方達へのプレゼントにしたいのです。