鈴虫の声がひそやかになって

 大きな影響も残さず、台風が海の彼方に消えた後
急に本物の涼しさがやってきました。
朝の最低気温16℃などと聞けば、
急にタオルケットを薄手の布団に入れ替えたりする気分になります。
鈴虫の声が心細げ、渡りを前の鳥たちが元気です。


 このところ気持に重みがかかることが多くて
ちょっと沈みがちでしたから、
昨夕の古典音楽協会の演奏会はいつにも増して
待ち遠しい出来事でした。


 友人との待ち合わせは、新宿で4時、
夕食とおしゃべりの時間をたっぷりと取りました。

季節到来とて、今日の狙いは勿論松茸。

この間土瓶蒸しと炊き込みご飯を食べましたから、
昨日は焼き松茸を注文、

香と味と歯ごたえを満喫したのでした。


 さてコンサート会場は上野の東京文化会館
曲目は、
ヘンデル:合奏協奏曲ニ長調
テレマン:管弦楽組曲〝食卓の音楽 第三集”
エマニエル・バッハ:チェンバロ協奏曲ニ短調
ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲ハ短調
       :四つのヴァイオリンの協奏曲ロ短調
バロック音楽はせせらぎのように滑らかで、純で、
美しく、何とも言えない気持良さです。
あまりの抵抗感の無さに、チェンバロや弦の音色が
ときに子守歌と化してしまうこともありました。
弦の音が冴えて、よく響き、
リコーダーの音色がコロコロと踊っていました。


 楽しい気分のままロビーに出ると、
Kさんの周りには人垣が出来ていて、
高校の同窓生の顔ぶれが揃っていました。
Kさんの満面の笑みに、
その夜の演奏会が成功であったことを確信しました。

 
 乗り込んだ山手線は大混雑。
ようやく手にした心地良い週末は、
人々の心を解き放っているように見えました。