師走に入って

 師走に入って、はや6日、
嘘のように月日がさらさらと流れて、
沢山の事々が走り去っていきました。


 今日も碧空、それと競うように楓の照葉が空に向かって、
両手を広げています。
風も無く静かな師走の昼下り、
日溜りの芝生が赤い落葉に埋まっています。
11月の終わりから昨日までは人心地つかぬほどに目まぐるしい日々で、
時間の出来た今日は腑抜けのようにボーッとして過ごしています。


 11月29日には、母のお茶のお弟子さん達との母を偲ぶ会をしました。
その前日に義妹と部屋の設えはすっかり済ませ、
それぞれが、翌日の受け持ちの料理の下拵えも済ませておきました。
当日は久しぶりに着物を着ることにしていましたから、
テキパキと体が動く自信がなかったのです。
10時過ぎからお人が集まり始めました。
お一人ずつにお参りをしていただいて、お席入り、そしてお供茶、
早くからお点前も半東も決めて、お願いしてありました。

床の間の母の笑顔はまことに穏やか、そしてうれしそうに見えました。
濃茶点前薄茶点前は皆さんにお任せして、私と義妹は昼食の支度、
一時前にはすっかり支度が整いました。
ノンアルコールビール献杯、あとは無礼講です。

まことに和やかな会は、母のいないことを忘れるほどにあの頃のまま、
「先生は今もここにいらっしゃる」と皆さんも同じ思いのようでした。
これからも母の遺してくれたこの和みを失わないように、
心して母のお茶を続けて行かねばと改めて思ったことでした。