春まだ浅き弥生の日

 昨日は、強い北風が髪の毛を巻き上げる
ちょっと穏やかならざる出だしの一日となりました。

 母がいた頃はきちんと定期的に進んでいた茶稽古も
この頃は何やかやと事が多いために、順調とは言えません。
母に続いて姑が旅立ち、私達の生活も大揺れとなりました。
月日が流れて、少しずつ以前の生活を取り戻しつつありますものの
大切な存在をなくしたことの心の揺らぎは想像を越えたものでした。


 昨日のお茶の会には特別な意味がありました。
私と同じように母の茶道具に愛着を持つ弟達の許へと
いくつかの茶道具が旅立ちます。
その茶道具たちとの餞別、使い納めの会と致しました。
長年通ってこられた母のお弟子さん達にとっても
思い出深い茶道具だったからです。


 お茶の時は、必ず着物を着ることに、義妹と決めました。
それだけに出足は早く、荷物は大きくということになります。
茶室はいつも通り義妹が早々と整えておいてくれました。
軸を掛け(これは、祖父の墨跡です)

花を生け、(染付大徳利:父の生家より)
花は南天の葉と藪椿

お茶を入れ、(茶入:五君子中棗)

大渡し:江戸千家独自のもの


菓子を付け(桜餅)

菜の花と蝶

桜花たより

妹が炉に火を入れてくれて、準備は10時少し前に終わりました。
茶室の景色はこうなりました。

棚は利休袋棚、水指は染付唐子

お別れするものの中には、祖母手作りの志野茶碗もあります。

そして楽の筒茶碗も。


 集うた人は7名、それぞれがお点前しながら
馴染んだ茶道具と語らい、良いお別れをして下さいました。
良い出会いとそして良い別れ、
しっとりとした和やかな茶会でした。
今は心がとてもぬくもっています