一日遅れの母の日に

 ここ数日五月晴れを絵に画いたような
美しい初夏の日が続いています。
ヤマボウシの伸びた枝には、葉々が重なるように繁り
その重さゆえに、
風が吹く度に深いおじぎを繰り返しています。
葉の上には十文字の白花が、もう姿を見せています。

こんなによく晴れた皐月の光の中でさえ、
この花のしっとりした風情は
梅雨のしめやかさを連想させます。


 昨日の母の日は、とても心和むうれしい一日となりました。
その前々日、長男から電話がありました。
「みんなから花が届くだろうから、僕はお母さんの好きな料理で
感謝の気持を表したい」と。
お花大好き、食べること大好きの私には願ったり叶ったりの、
うれしい提案です。1も2もなく大賛成。
 当日息子は4時起きして、浦安の魚市場に出かけ、かねてから
考えていた蛤とパスタの食材を買い込み、8時過ぎやって来ました。

9時になるのを待って、スーパーへの買い出し、
帰るやいなや料理にかかりました。
手際の良いこと、手伝う隙もありません。
私のしたことと言えば、にんにくを刻んだことと、
チェリーセージローリエの葉を取りに行ったことだけ。
11時には次男が降りてきて、アサリのパスタ作りを始めました。
出来上がったのは、
蛤のお刺身、

蒸し蛤、

焼き蛤、

エビのパスタと

アサリのパスタ

食べるだけの私は、うれしいのとおいしいのとで、
飲み慣れないビールも料理の量もいやに進みます。
ランチの最中に次男からの花篭と

娘たちからのカードが届いて、

雰囲気は最高潮、心も体も酔っているような
ふわふわした気分になりました。
反省することばかりの私の子育ては、
子供たちの寛大さに補われて、何とか形を保っています。


 今朝は、朝4時過ぎに目覚めました。
空の明るさに誘われて、そのままべットを出て、
抜き足差し足で下りましたのに、
やっぱり息子を起こしてしまったようです。
「混まない内に帰ります」と紅茶を飲んだだけで、
長男は、あっという間に戻って行ってしまいました。
彼を見送った後、朝の日課のヨガとストレッチを済ませて、
PCの前に座ります。メールのチェック、FBのチェック。
次男が下りてくるのを待って朝食、7時に家を出ました。
行き先は東京霊園です。
昨日の母の日に、私は子供たちからやさしい心遣いを贈られたのに
私は母に何のプレゼントもせず、カードも書かずの親不孝、
今日は一日遅れて母の日の挨拶に出向いたのです。
お墓には誰か先客がありました。
墓石もきれいでしたから、水洗いだけして
真っ白な菊と2色のカーネーションを生けました。

父と母の何とも言えないやさしく穏やかな笑顔が蘇りました。


 夫の眠る場所にも先客がありました。
私達だけでなくいつもどなたかが訪ねて下さっている気配が
ある、そんな夫のお墓です。
それは、彼の生き方、そして人柄のなせる業なのでしょう。


 父、母、夫、大きな存在に支えられながら、
心安らいで過ごす毎日です。