梅雨入り

 約束通りに梅雨入りです。

最高気温が真夏日になる日が続いても、
そのまま本物の夏がやって来るということは6月には無いのですね。
なぜか水無月にやってくる梅雨前線が、勢力を増して、
猛暑日を記録した地方に大雨の災害をもたらしています。
自然は心を癒し、心を荒らしもする存在です。
季節の変わり目には殊更に。
しばらくは、重い空の日が続きそう、庭木の緑が濃さを増しています。


 先日37回忌の法要をした祖父が
俄かに現実の世界に引き戻されています。

弟から「おじい様の書簡や書類が、オークションに流失している」
と連絡を受けたのは、5月29日のこと、
信じられない思いでヤフーオークションを開いて、息を呑みました。
祖父宛ての封書、葉書、そして膨大な文書が
オークションに掛けられていたのです。
祖父は海軍の軍人でした。それも軍の中枢にいた人物です。
それ故に人の興味を引くのでしょう。
すぐに叔母に電話をして状況を伝えました。
叔母の話によれば、家の取り壊しの時に、
お蔵から出た大量の書簡や文書の整理を人に依頼したとのこと、
知人から「信用の出来る人」ということで紹介された人だったそうです。
「手紙、機密文書など全てを読めないように水に溶かして処分する」
と言ったその人の言葉は嘘だったことになります。
どういうルートで流れて行ったのかは知る由もありませんが、
オークションに出品しているのは古書を扱う店のようです。
葉書はともかく封書は親書です。
祖父やその家族のプライバシーに関わることも書かれています。
それがオークションの写真の文面から読み取れるのです。
不特定多数の人目に晒されるような形でオークションに掛けられている
手紙を落札したくても、
その数と吊り上る値段に追いつくことは不可能です。
何とも言えぬ気分の悪さと無念さとで
落ち着かない日々を過ごしています。

 高値で落札する人たちが、
どういう目的でそれらを手にしたいと欲するのかは
一様ではないでしょうけれど、
興味本位の覗き見趣味ではなく、
せめて歴史的な検証や研究の為に使われるのでしたら、
いくらか気持は慰められます。
でも信用して託した人を裏切って、
自分の私欲のために人の私物を悪用した
その「信用できる人」を断じて許すわけにはいきません。
こうした場合、
どのような方法があるのかを弁護士に相談してみようと 
思っているところです。