長月のお茶の会

 夜来の雨が降り続く庭に、
戻り咲きのヤマボウシが生き生きとしています。

彼等の好きな梅雨時に似た、しとしと雨、
我が意を得たりといったところでしょうか。
周りの葉は、わくらばだったり照り葉だったりと
瑞々しさはありませんけれど。


 5日、6日と植木屋さんが入って、草ぼうぼう、木の葉もさもさ状態が
すっかり解消して、小ざっぱりとした庭に戻りました。
植木のことなら何でもござれの植木職人さん達が驚いたのは、
ヤマボウシの花、「こんな季節にこの花を見るのは始めて」と。
「木が疲れるだろうけれど、折角咲いたのだからこのままに」と
命拾いした白い花(苞)は、まだしばらくは持ちそうです。
「今夏の暑さは異常だった」と、外で働く人たちは口を揃えます。
立ち枯れた木や草花、異常に繁茂した木、
いつもと異なる虫の発生時期等々
さまざまないつもと異なる現象に、対応が追い付かないでいると。
ヤマボウシの時違えも、そんな現象の一つなのかもしれません。 


 昨日、久しぶりに「お茶を楽しむ会」を開きました。
気温が少し戻って28℃まで上がるとの予報、
着物を着なければならない身には少々辛い気温です。
前夜取り置いた紫式部と白式部
前日受け取ってきた茶菓子3種類 着物と小もの、カメラにテキスト、
茶器に茶碗、 
荷物は風呂敷包み一つと大袋2つになりました。
タ クシーで家を出たのは8時少し前、母の家まで10分とは掛かりません。
義妹の手で掃除の済んだ茶室はすっきりとして、
水屋には、花庭からの秋草がたっぷりの水に取り置いてありました。


 先ずは着物を着て、
それから花活け、欲張って11種類も花を入れましたから、
少々まとまりが無くなりました。

茶掛けは「茶」、母がいつも9月に出していたもの、
敬老の日に因んでということらしいです。

蛸八さん(お馴染みの和菓子屋さん)が、 
この日のために考案して下さった上生菓子は、
銘「こぼれ萩」。

無理をお願いして、「胡桃餅」も作っていただきました。

お茶を入れて、炭を熾し火を入れてと準備はスムーズに進みます。 
すっかり支度が済んで、茶室はこうした佇まいになりました。


 一服しているところに一番乗りのお弟子さん、
昔、母の茶室で学んで、久しぶりに復帰した方、大層熱心です。
次々に社中の方々が来られて、八畳の茶室は、
あっという間にいっぱいになりました。総勢9名、和気あいあいです。
薄茶稽古

濃い茶稽古

熱心に勉強なさる皆さんの口をついて出るのは、 
「先生はいつも茶室の中にいらして下さる」の言葉、
皆さんの心の中の母は、時を越えていきいきと息づいているようです。
その思いがこれほどまでに深いとは、
娘でありながら気付かなかった母の事々に、
今更ながら思いを馳せるお茶の会です。