夏戻りの日々に

 絶好の行楽シーズン、紅葉も進み始めていた美しい御嶽山
気高い山として人々の信仰を集めていた御嶽山
かっては死火山と思われていた山が、突然牙をむきました。
いつにも増して登山者の多い晴天の土曜日、9月27日のことです。
「噴火」の二文字を、頭に描いて山を目指していらした方は、
恐らく皆無だったことでしょう。
頂上を極めて、そろそろお弁当を開こうかという正午近く、
突然暗雲が襲いました。
何の予備知識も警戒心も持ち合わせてはいらっしゃらなかった筈の
大部分の登山者は、
咄嗟の危険回避も思い及ばなかったのではないでしょうか。
灰に埋もれ、噴石に襲われた方々の驚きと無念を、
明るく見送られたご家族の方々の慟哭を、
テレビ画面を通して知りながら、ただ瞑目するばかりです。


 記録にも記憶にもないような天災が次々に起こった夏でした。
かって経験したことの無い猛暑続き、
記録にない豪雨、
噴火するはずがないと思われていた山の突然の水蒸気爆発、
四方を海に囲まれ、山々が連なる風光明媚な国日本は、
火山が縦横に走る火の島、地震の島、津波の島、山津波の島でも
あったのです。
目の当たりに現実を突きつけられて、
はじめて驚くほどの知識の無さ、
警戒心の無さ、それが私の現実です。
わきまえて生きることの意味を考えます。
祈りと反省の夏の日々でした。


 明日はもう10月入りです。
昨日今日と最高気温が28度、29度と夏日が戻って、
久しぶりに汗をかきました。
でも風が違います。湿り気の少ない爽やかな空気になりました。
心地良く毎日が過ごせることのありがたさを心にしっかりと留めて
おきます。
秋になって、もう戻ってくるはずの菊も撫子も花を見せません.
彼岸花もとうとう咲かずじまいでした。
彩りと言えば、
夏の名残りのブルーサルビア

花虎の尾の薄紫、

金木犀のきらめき

少し心許なさはありますものの
秋の知らせはあそこにもここにも見え隠れ、
ヒメシャラが、いつの間にかこんなに実を付けました。