夏空に、ゆたかな歌声響いて

 予報に反して青空と陽ざしに恵まれた昨日(海の日)、
大好きな男性コーラスを聴いてきました。

東京六大学OBの演奏会(東京芸術劇場)でのことです。

各グループが、この日のために猛練習を積んでのご披露ですから、
力が入っていて聴き応えがあります。


 第一ステージは、慶応ワグネルソサイエティ百名ほどのメンバーの方々

「トスティ歌曲集」、コーラスは原語で歌われますから、
私は日本語の歌詞を目で追いながら、
耳を澄ますという二刀流になります。
春の訪れに鼓舞されるように、恋の季節を甘く軽やかに歌う出だしから、

季節巡って夏から秋、実らぬ思いへの切なさを諦観とも思える静かさで
歌い終えるまで、その起伏のある、ふくよかで、よく響く歌声は
私を心地よい世界に誘って下さいました。
歌詞を追うのは途中で止めて、目をつむって歌声に聴き入って
いましたら、メロディから感じ取れる雰囲気は、
他国のそれではなく、どこか懐かしく、親しみのある響きへと
変わっておりました。
ワグネルOBの方たちから紡ぎ出されるあの深々とした厚みとぬくもり
のある歌声は、この度も私の心の奥底にまで快い安らぎを運び込んで
下さったのでした。


 とても新鮮で目を見張り耳を澄ませたのは第三ステージの
東大コールアカデミーの「法華懺法」。
まさにお経なのですけれど、なぜか退屈ではない、心の奥に響く
声という感じを受けました。
眠くなりそうな旋律なのに睡魔は襲わず、
最後まで聴き入った、不思議な旋律でした。


 インターミッションを挟んで後半最初のステージ、
立教グリークラブの歌った「尾崎喜八の詩から」も充実感がありました。

心を込めて歌い込み、それを聞き手に丁寧に伝えている、
そんな感じがありました。
「春愁」と「かけす」が特にこのグループらしさ、
すっきりとして重々しくなく、よく響かせて歌っていらしたと思います。

独唱をなさったお二人のお声がとても素敵で、清々しさを感じました。


 明治グリークラブの「月下の一群」もまた素晴らしく美しい、
ふくよかな歌いぶりでいらしたと思います。
落ち着いて、自信に充ちた歌声だったのは、よく歌い込んでいらっしゃる

故でしょうか、とても心地よく、すんなりと耳にも心にも届きました。


 そして最後の校歌の大合唱、総勢350名をゆうに超えるメンバーが
舞台上に一堂に会し指揮者を交代しながらのエールの交換、
歌っていらっしゃる方々も楽しげ、聴く私も心浮き立ち、
一緒に歌いたい思いでした。
舞台上の壮観、歌声の圧巻、心から楽しんだ三時間でした。